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ラグビー新リーグ構想の理想と現実。
企業名、ホーム、普及の方法論は?
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byNaoya Sanuki
posted2020/01/31 11:50
ラグビーW杯の熱がいかに巨大だったとはいえ、永続するわけではない。未来の形へ向かって進む必要がある。
ホームエリアが明確に設定。
トップリーグからの分かりやすい変化は、現時点でふたつ示されている。
ひとつはホームエリアである。これまでもそこはかとなく“ホーム”は存在していたが、各クラブは明確なホームエリアを持つことになる。Jリーグのホームタウンに当たるものと考えていい。
ホームエリアに関連して、ホームスタジアムもはっきりさせる。これがふたつ目の変化だ。各チームはホームエリア内にホームスタジアムを確保する。
新リーグは1部と2部をそれぞれ8~12チームで構成し、場合によっては3部制も検討されるが、1部のチームは1試合あたり1万5000人以上の観客動員を目ざす。新リーグと各チームが持続可能な成長を遂げるためには、安定したチケット収入が欠かせないからだ。
1試合平均1万5000人とは、どれぐらいのスケール感なのか。使用するスタジアムの重複が想定されるJリーグが参考になるはずだ。
J1では15チームが1万5000人超え。
2019年シーズンのJ1を見ると、全18チームのうち1試合平均で1万5000人以上の観客動員を記録したのは15チームを数える。1万5000人に届かなかったのはベガルタ仙台、湘南ベルマーレ、サンフレッチェ広島だけだったが、清水エスパルス、ジュビロ磐田、サガン鳥栖、大分トリニータの4チームは1万5000人を大幅には上回っていない。
J1の18クラブのうち15クラブが達成していると見れば、ラグビーも手が届くのではないか、との期待は膨らむかもしれない。しかし、サッカーのJ1には優勝争いと残留争いに加え、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)出場を巡る争いやダービーマッチもある。
J1とJ2のクラブが参加するルヴァンカップも、リーグ戦に観客を誘導する要因に成り得る。勝ち上がればそれだけでアピールになるだけでなく、若い選手に出場機会を与える機会となっていることも見逃せない。カップ戦でスター候補生が台頭してくれば、リーグ戦も観に行こうという観戦動機が生まれる。
JリーグとBリーグは、特別指定選手制度を採用している。高校や大学の在学中から試合に出場できるルールで、これもまた話題を提供する材料になっている。