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ラグビー新リーグ構想の理想と現実。
企業名、ホーム、普及の方法論は? 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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photograph byNaoya Sanuki

posted2020/01/31 11:50

ラグビー新リーグ構想の理想と現実。企業名、ホーム、普及の方法論は?<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

ラグビーW杯の熱がいかに巨大だったとはいえ、永続するわけではない。未来の形へ向かって進む必要がある。

ラグビーが30年後も愛されるために。

 BリーグはJリーグと異なり、事業収益を上げることからスタートした。バスケットボールは競技人口がサッカーに次ぐスケールで、部活生が多い。Bリーグ開幕以前から、すそ野がしっかりとしていたからだった。そのうえで現在は、各チームのアカデミーによる大会が行われている。

 ラグビーには素晴らしい文化がある。自己犠牲の精神が磨かれ、組織への献身性が育まれ、他者をリスペクトする精神が宿る。アスリートとしてだけでなく、人間としても成長させてくれる競技だ。

 W杯でラグビーに興味を抱く子どもたちが増えた。家族で楽しめるスポーツになった。

 だとすれば、ラグビーならではの文化を子どもたちに伝えていくことが、30年後も支持されることに、ラグビーがあってよかったという社会に、つながっていくのではないだろうか。

観るだけでなく、触れられるものに。

 アカデミーの保有を義務づけるかどうかはともかく、子どもたちがラグビーボールに触る機会は増やすべきだ。すでにそうした取り組みをしているのなら、もっと加速させていくべきだ。新リーグのもとで「観る」だけでなく「ボールに触れられる」ことを、はっきりと高らかに宣言すればいい。

 ボールに触れられる機会が増えれば、競技志向を抱く選手が出てくる。より専門的な指導が求められ、小中学生のチームを作ろう、大会を開催しよう、といった機運の醸成につながっていく。

 昨年のW杯でラグビーの魅力に目覚めた子どもたちが、思い切りラグビーボールを追いかけ、オフロードパスやジャッカルの真似事ができるような環境を、目に見えるものとして提供していく。

 トップリーグでプレーする選手たちに、引退後もラグビーとともに生きていける環境を創出する。普及に基づいた環境整備の先に、新リーグの「持続可能な発展」があると思うのだ。

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