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タイ1部監督・石井正忠に聞く、後編。
給食センター勤務と鹿島で得た宝。

posted2020/01/27 11:35

 
タイ1部監督・石井正忠に聞く、後編。給食センター勤務と鹿島で得た宝。<Number Web> photograph by Norio Rokukawa

トレーニング中に笑顔を見せる石井正忠監督。鹿島で培ってきた哲学を、タイの地に落とし込もうとしている。

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飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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Norio Rokukawa

2015年途中から鹿島アントラーズを率い、翌シーズンにリーグ王者へと導いた石井正忠氏が、2020シーズンからタイ1部リーグのサムットプラーカーン・シティの監督に就任した。タイ代表の西野朗監督を筆頭にアジア各国に日本人指導者が渡る中で、石井監督は何を考え、タイの地で指導しているのか。後編では鹿嶋市での給食センター勤務に加えて、古巣・鹿島への思いなどを聞いた。

――給食センターというのは土日が休みで、夏休みもあって、娘さんと生活のサイクルが合うから、非常に合理的な選択です。とはいえ、Jクラブの監督経験者が簡単にできる選択ではないと思うんですね。ひと目が気になるというか、プライドが邪魔するというか。

「それはあまり気にしなかったですね。私にとって大事なのは何を優先するかで、家族との時間を取りたかったので。解説の仕事も考えましたが、結局、土日に仕事をすることになる。なので、ちょっと思い切ったことをしてもいいなと思って。何かに挑戦するときって、ドキドキするほうがいいじゃないですか(笑)」

組織論を学ばせてもらいました。

――給食センターでどんな仕事をされていたんですか?

「男性社員のひとりとして採用してもらったので、いろんな仕事をさせてもらいました。それこそ調理もしましたし。カレー用のジャガイモを200キロくらい機械に入れて、それをパートさんのところに持って行ったり。衛生面もすごく勉強になりました。これだけしっかりしていれば異物混入など起こらないなと思うくらい徹底していましたよ。

 それに、指導者としても生かせることがありました。例えば、女性のリーダーの方がいて、その人の振る舞いが本当に勉強になって」

――どんな感じなんですか?

「何でもできるんですよ。すべてのことを自らやって見せることもできるし、小さいグループを作って、それぞれにリーダーを置いて、うまくコントロールしたりだとか。給食センターで組織論を学ばせてもらいました」

――この1年は、指導者としてのご自身と改めて向き合う時間にもなったんじゃないかと思います。

「そうですね。トレーニングメニューを見返して『こういうときに、こういうことをしていたんだな』と振り返ったこともありましたし、月に1回程度、土日に講演やサッカー教室もやっていました。サッカー教室で、参加者がたまたま女の子だけになったことがあって、それも貴重な経験でしたね。子どもたちの指導も大切だなと改めて思ったり。

 カシマスタジアムで試合を見ているときには、もう1度あの場に立ちたいなという気持ちもどんどん湧き上がってきた。11月に行ったヨーロッパでも刺激を受けました」

【次ページ】 鹿島、欧州の試合を見て再び意欲が。

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