リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
夢を叶えた新監督セティエン。
バルサを“本来の姿”に戻せるか?
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2020/01/24 11:40
グラナダ戦はメッシの決勝点で1-0だったとはいえ、セティエン新監督のポゼッション重視と下部組織出身者の積極起用方針が見て取れた。
新体制初戦で早速の“改革”が。
1月13日の午後、役員会はバルベルデの解任とQ・セティエンの着任を決定した。
バルサに選ばれたことを最後の最後まで疑っていたQ・セティエンの代理人は、「確定」を伝えられた後イタリアのミラノから急いでバルセロナ入りし、契約内容を話し合う席に着いた。
「2021年の会長選挙の結果次第で解除される可能性あり」という条件つきではあるものの、2年半もの長期契約を勝ち取ることができたのは、役員会が置かれた状況を巧みに突いたこの代理人のおかげとのことだ。
そうした経緯でバルサを指揮することになったQ・セティエンは、初陣となった第20節グラナダ戦で早速、自分の色を打ち出した。例えば、右SBセルジ・ロベルトの攻撃参加を抑えて自陣からのパスワークを滑らかにしたり、縦に急ぐことを止めて、それぞれが然るべきポジションに着いてからボールを動かすように仕向けたり。
ボールを使って試合をコントロール。
カギは、ここ数年軽んじられていた「ボールを使って試合をコントロールすること」だ。結果、この夜のバルサは1005本のパスを繰り出した。リーガでの1000本越えは、グアルディオラが監督をしていた2010-11シーズンのレバンテ戦(1046本)やビラノバが監督を務めた2012-13シーズンの同じくレバンテ戦(1035本)に次ぎ、クラブ史上3度目である。
また、バルベルデの下では1試合平均54.4本蹴られていた30m超のロングパスは25本、ボール支配率も2011年のラシン戦(84%)とレバンテ戦(83.9%)に次いで高い82.6%を記録した。
一方、これまでゴールラインから40m以上離れることはなかったディフェンスラインは43mのところに敷かれていた(いずれも90分間の平均値)。
Q・セティエンの下、バルサで先祖返りが起こるのは間違いない。
近いうちにあの頃のバルサが戻ってくる。