松岡修造のパラリンピック一直線!BACK NUMBER
パラテコンドー日本代表、伊藤力が
修造に語った“先生”との出会い。
text by
松岡修造Shuzo Matsuoka
photograph byNanae Suzuki
posted2020/01/20 08:00
「前動作がない、よけづらい蹴りって言うんですかね。ノーモーションでふっと力を抜いて蹴る……」対談は、徐々に高度な話になっていった。
「僕は初心者に近いので、まだまだ伸びていける」
松岡「試合ではどうですか。USオープン後、結果も出始めた?」
伊藤「そう簡単ではなくて、それからも負け続け……。たとえ勝ったとしても1回戦とか。ただ確実に経験は積んできました」
松岡「今はさらに経験を積んで、その(アジアパラテコンドーオープンで負けた)モンゴル人選手にも勝てるんじゃないかという希望は見えてきているんですか」
伊藤「伸び率的なことで言えば、追いつけないことはないと思ってます。そのモンゴルの選手は10歳頃から競技をやっていると言っていたので、今から爆発的に伸びることはないじゃないですか。その点、僕は初心者に近いので、まだまだ伸びていけるはず。ただ、同じようにミットを100回蹴っても追いつけるわけがないので、工夫をしなければならない。それで今の師範のところへ練習をしに行くようになったんです」
松岡「また新しい人物が出てきましたね。師範って、どなたですか」
伊藤「新見能弘師範と言って、僕は先生と呼んでいるんですけど、オリンピックルールの世界選手権で過去に3位になった方です。先生もテコンドーを始めたのは18才くらいからで、メダルを獲ったのも30を過ぎてからと言ってます」
「得意ですね、SNSで連絡を取るのが(笑)」
松岡「その方とはどうやって知り合ったんですか」
伊藤「協会の方が良い先生だよと紹介してくれて。次はフェイスブックのメッセンジャー機能を使って、練習参加のアポを取りました」
松岡「得意ですね、SNSで連絡を取るのが(笑)」
伊藤「はい(笑)。それで練習に参加してみたら、他の道場とはまったく違う練習をしていて、良いなと。それが2017年だったと思います。それまではどこの道場にも所属してなくて、自分ができること、不得意なこと、それを相談することができなかったんですね。
たとえば今回の大会はこうでしたと動画を見せて、その都度アドバイスはいただくんですけど、反省点までは相談ができなかった。去年の夏くらいから新見先生の道場に頻繁に通うようになって、自分の不得意なところもぜんぶ伝えて、さらに伸びてきた感じですね」
松岡「そんな出し惜しみしなくて良いじゃないですか。自分の欠点をぜんぶさらけ出して、それで教えてもらえば」