松岡修造のパラリンピック一直線!BACK NUMBER
「東京2020後はパラクライミングに!」
と語る伊藤力に松岡修造がエール。
posted2020/01/25 08:00
text by
松岡修造Shuzo Matsuoka
photograph by
Nanae Suzuki
伊藤力さんは2015年4月に勤務先の工場で事故に遭い、利き手である右腕を失った。
右腕を切断した後、パラテコンドーを始めた伊藤さんは、わずか数年で日本のトップクラスにまで登りつめる。いざパラリンピックイヤーを迎え、伊藤さんはどんな夢を思い描いているのか。松岡さんがその胸のうちに迫った。
松岡「いよいよパラリンピックが近づいてきましたが、日本代表はいつ、どのようにして決まるんですか」
伊藤「一応、開催国枠があって、男子は-61kg級と-75kg級でそれぞれ日本代表が決まるんですけど、その選考会が1月26日に行われます。女子は枠が1つしかないんですけど、選手が1人しかいないのでそこは確定しています」
松岡「ライバルとなる選手はいるんですか」
伊藤「多分、3、4人で争うことになると思うんですけど、内2人は僕より若いし力も強いので、やってみないとわかりませんね。ただ、絶対とは言わないですけど、勝てるイメージは持ってます。これまで道を作ってきたのに、僕が出られないってサイアクじゃないですか。大会の解説者枠には回りたくないので(笑)」
松岡「神様にもお祈りしたい気分ですか。今は」
伊藤「それはないかな。僕は自分がコントロールできないことに頼るのはやめているので。神様も信頼していないというか、頼むのはいつだって自分です」
「(人生は)冒険的ではありますね」
松岡「力さんって急に真顔になるときがありますね。自分では気がつかないかもしれないけど、すごく伝えたいメッセージがあるときに表情が変わるんです。
これまで時系列順に話を聞かせていただきましたけど、力さんは、障がいを負ってからの人生をどう捉えてますか」
伊藤「そうだな、冒険的ではありますね」
松岡「その冒険はいつまで続くんでしょう」
伊藤「2020年で終わりにしましょうか(笑)。冗談ではなく、パラテコンドーは終わりにして、違うことをやってみたい気持ちもあるんです。今、練習でボルダリングをやっているんですけど、パラクライミングがあるので、そっちをやってみるのも面白いかなって」