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サイン盗みの汚点はMLB史に残る。
選手たちの成績すら疑われる事態。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byAFLO
posted2020/01/15 19:00
アストロズのスター選手たちの成果や成績にまで、サイン盗みの陰はついて回る。これは球界にとって大きな損失だ。
2014年には対策が始まっていた。
2014年 ビデオ判定の導入に伴い、全球場に無人のビデオ・リプレー・ルームを設置。
2017年 MLB機構が電子機器をサイン盗みに使うことの禁止を正式に決定。
2017年 9月、レッドソックスが時計型携帯端末の「アップル・ウォッチ」を試合中に使用したこと、ヤンキースが電話を不適切に使用したことに罰金処分。
2018年 MLB機構は全球団の社長、GM、GM補佐に対して、電子機器を「決してサイン盗みを目的に試合中に使用してはならない」と通達。
2018年 8月、アスレチックスがMLB機構に対し、アストロズの地元ヒューストンでのシリーズにおいて、拍手(で合図すること)に対する調査を要望。
2018年 「サイン盗み」を防ぐため、ポストシーズンで有人のビデオ・リプレー・ルームが初めて導入。
2018年 アメリカンリーグ優勝決定シリーズのレッドソックス対アストロズの際、レッドソックスの地元ボストンのフェンウェイパークにおいて、アストロズの職員がカメラ・エリアから退場になる。
2019年 開幕前、MLB機構は有人のビデオ・リプレー・ルームの継続使用と「サイン盗み」防止のためのルールを強化。
2019年 田中将大投手が先発したアメリカンリーグ優勝決定シリーズ第1戦において、ヤンキースがMLB機構に対し、アストロズの口笛による合図に対する調査を要望(ただし、田中投手が6回1安打と好投するなどして、7-0でヤンキースが勝っている)。
2019年 11月、マイク・ファイアーズ投手(現アスレチックス)ら2017年にアストロズに所属していた4選手が、米スポーツメディア「ジ・アスレチック」に2017年のアストロズ「サイン盗み」を告白。
2020年 1月、MLB機構の調査の結果、処分が決定。
2017年に起きた劇的な変化。
アストロズの「サイン盗み」は、2017年のポストシーズンで8勝1敗、1試合あたり5.7得点に対し、ロードで3勝6敗、1試合あたり3.0得点だったことが証だとされたが、シーズン中の劇的な変化も見逃せない。
2017年 前半 後半
チーム打率 .249 .252
同長打率 .396 .415
同年のストライクゾーン外の球を打者がバットを振る確率。
2017年 前半 後半
30.2% 26.9%