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サイン盗みの汚点はMLB史に残る。
選手たちの成績すら疑われる事態。 

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ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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posted2020/01/15 19:00

サイン盗みの汚点はMLB史に残る。選手たちの成績すら疑われる事態。<Number Web> photograph by AFLO

アストロズのスター選手たちの成果や成績にまで、サイン盗みの陰はついて回る。これは球界にとって大きな損失だ。

監督やコーチの携帯を回収して徹底調査。

 MLB機構はヒンチ監督や当時のアレックス・コーラ・ベンチコーチ(現レッドソックス監督)の携帯電話を回収して徹底調査し、当時選手だったカルロス・ベルトラン(現メッツ監督)らや選手たちにも聞き取り調査を行った。

 その結果、多くの事実が明らかになった。

 2017年の開幕直後にアストロズ職員が試合の中継画面を用いて「サイン解読」に着手し、ダッグアウトに伝えていたこと。

 コーラ・ベンチコーチがテキスト・メッセージでそのやり取りをしたこと。

 同コーチが後にモニターをダッグアウトのすぐ裏に設置し、件の「ゴミ箱叩き」に関係したこと。

 シーズンが始まって2カ月を過ぎた頃、ベルトランがほかの選手とコミュニケーション法について話し合ったこと。

 この調査から、アストロズの「サイン盗み」が結論付けられた。

成績や勝利のどこまでがCheatだったのか。

 アメリカではスピット(唾液を付けた)ボールやボールに傷をつけること、あるいは粘着性の高い松脂や塗り薬、コルク入りバットやパフォーマンス向上薬品(PED)など、ルールで禁止されていることをして相手選手より優位に立とうとすることを「Cheat」と呼ぶが、アストロズの「サイン盗み」は「テクノロジーによるCheat」であると同時に「個人ではなく、組織一体となってのCheat」だった。

 残念なのは、才能集団であるアストロズが成し遂げた過去3年間の成功(ア・リーグ西地区3連覇でワールドシリーズに2度出場し、初優勝も成し遂げた)が、もはや「サイン盗み」を抜きには語れなくなってしまったことだ。

 ホセ・アルトゥーベとカルロス・コレアの二遊間コンビやジョージ・スプリンガー外野手ら、真に実力ある才能集団だと誰もが認めるチームが「Cheat」に関連付けられることは悲劇であり、当時ドジャースのダルビッシュ有投手がワールドシリーズ最終戦で打ち込まれたことなどもすべて、「サイン盗み」だったのか? と永遠に思われることになる。

【次ページ】 MLBの歴史に大きな汚点が残った。

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