フランス・フットボール通信BACK NUMBER
アフリカの小国・ジブチが起こした
サッカーW杯一次予選突破の奇跡!
text by

フランク・シモンFrank Simon
photograph byAlexis Reau/L'Equipe
posted2020/01/14 08:00

フランス人のサッカー指導者・ジュリアン・メットはまだ37歳。フランスは、世界各国に優れた若き指導者を送り込んている。
FIFAランキングが大きく上昇!
監督就任から数カ月のうちに彼は、ベテランたちとはメンタリティが異なる平均年齢23歳の若いグループを作りあげた。彼らは10月のガンビア戦(CAN予備予選)でも存在感を示した。敗れたとはいえPK戦にまでもつれ込み、もはやジブチは対戦相手をただ喜ばせるだけの存在ではなくなったのだった。
12月にジブチは、ウガンダでおこなわれたCECAFAカップにも参加した。彼らにとっては来るべきワールドカップ予選に向けての、絶好の予行練習であった。
「ワベリ(ジブチ・サッカー協会)会長はワールドカップ予選のことは何も言わない。でも僕らもみじめな戦いはしたくない」とメットは言う。
「結果がどうであれ誇り高くピッチを後にしたい。希望と野心を常に持っていたいんだ。ゼロからのスタートではない。すでに0.5は成し遂げているからね」
そう冗談めかしてメットは語るが、すぐに彼は本音を吐露した。
「マダガスカルやコモロ、アイスランド、シリアといった国々が世界でサプライズを起こしたように、僕らも世界を驚かせたい。フランスカップでアマチュアチームが時々サプライズを起こしていることもよく話しているよ」
メットが結果を出してことで、ジブチ協会はその舵をフランス寄りに大きく切った。女子サッカーの代表監督には元フランス代表のサラー・ムバレクを招聘し、同じくフランス人のヤン・ダニエルーをDTN(技術委員長)に任命した。
FIFAランキングも大きく上昇した。
そしてワールドカップ予選では、アフリカのサッカー大国をホームに迎えて戦う。
数カ月前に誰がこんなことを予想できただろうか――ジブチの冒険は続く。
