オリンピックへの道BACK NUMBER
各競技団体でワンマン会長の問題が
露見。その背景に“東京五輪効果”。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2019/12/29 11:30
2019年11月、退任となった金原昇・日本テコンドー協会前会長。退任後はバラエティ番組などに多く出演。
「私」の領域にある欲求から行動。
強くしたい、成績を残したいという信念。バレーボールの地位を高めたいという情熱に疑う余地はない。
ただ、どうしても長く力をふるうことができる立場にあり、しかも周囲のチェックが利かない立場にいれば、ときに本来の、強化のため、発展のため、という目的を離れ「私」の領域にある欲求などから行動することは、多くの人にありえる。
強烈なリーダーシップをもってものごとを進めることで、それが強化の成功を導いたり、普及に寄与する際に有効であるケースもあるのは、否めない。
それでも、そういった手法は長続きしない。「ワンマン」とも言えるそうした手法が生きていることも、数々の問題から浮き彫りになるだろう。
注目度が高くない競技団体で問題が。
また、普段、決して注目度が高くない競技団体で、問題が生じやすいということも言えるだろう。
広く、絶えず注目を集める競技は決して多くない。
オリンピックのときこそ、一定レベルの脚光を浴びたりすることはあっても、日頃、どのような大会があって、強化も含めどのような活動をしているか、知られる機会もない。
だから活動資金の面でも、潤沢ではなく、窮しているような団体も少なくはなかった。
ときに、組織の運営に携わる人々が自ら資金を出すなどしていたこともある。
そんな小さな組織で、費用の面も含め貢献しているという思い、自負から、強権的な運営、独断につながったケースもある。
選手からすれば、自分が道具であるかのように扱われていると感じられたり、言うがままに動かなければいけないのか、といった不満を抱くような、上意下達に近い関係になることもあった。
各種大会の選手選考においても、波紋を投げかけることがあった。