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「歴史を変える挑戦」目指す國學院大學。
大エース卒業の順天堂大学は総合力で勝負。 

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箱根駅伝2020取材チーム

箱根駅伝2020取材チームhakone ekiden 2020

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photograph byYuki Suenaga / Nanae Suzuki

posted2019/12/20 11:00

「歴史を変える挑戦」目指す國學院大學。大エース卒業の順天堂大学は総合力で勝負。<Number Web> photograph by Yuki Suenaga / Nanae Suzuki

距離が短い区間はスピードが生きたが。

 全日本大学駅伝では距離が短い6区まではチームの持ち味であるスピードを生かせ、全員が区間一桁順位にまとめられたことが快走につながった。だが17.6kmの7区で3年生の澤藤響が区間21位で8位まで順位を落とし、最後の8区も4年生の鈴木雄人が区間13位で9位となったように、長い距離への不安がある。

「全日本大学駅伝に関して言えば、その前に出雲駅伝や記録会があって、長い距離への対応が出来ていない部分があり、それで7区でブレーキが出てしまった。そこに替えられる選手がいなかったのがチーム全体の弱点でもあったのかなと思います。ただ、全日本大学駅伝では、『練習をこなせれば結果が出る』ということも分かったので、大会後にやっている距離への対応練習をしっかりやっていけば大丈夫かなと思います」

 また、全日本大学駅伝の終盤の失速は、自分にも原因があったと藤曲は言う。

 出雲駅伝では大会前に胃腸系の体調不良に陥り、本来ならエース区間の3区を走る予定だったが、最短区間の2区にスライドした。また、全日本大学駅伝でも状態が上がり切らなかったために、繋ぎ区間の5区に回った。

「今回の箱根駅伝では2区を走るつもりで1年間やってきているので、そのためにも出雲駅伝と全日本大学駅伝ではエース区間を経験したかったんです。全日本大学駅伝の5区ではある程度いい走りは出来たけど、やっぱりチームが戦うためには本当はもっと違う区間で走らなければいけなかった。僕の調子が良かったら、ブレーキをした7区に回ることも出来たと思いますし、そういう意味では自分にも責任はあると思います。ただ、自分自身は、駅伝シーズンがそういう状態が悪い所からのスタートだったので、今は練習でも一本一本、状態がかなり上がってきていて、すごくいい手ごたえは感じています」

4年生の結束で“5強”の一角を崩す。

 4年間の集大成として、箱根駅伝ではエース区間の2区をしっかり走りたいと話す藤曲。だが本大会を考えれば、まだチームとして足りないものもあるという。

「全日本大学駅伝では1区からうまく流れにハマりましたが、箱根駅伝ではそういう良い滑り出しが出来るとは限らない。そういう時に流れを戻せる存在がいないというのが課題だと思います。それにまだ、4年生が揃いきっていない部分もある。4年生が万全の状態にできれば、それこそシード権争いに留まるようなチームではなくなると思っています」

 藤曲がそう話した4年生からは、出遅れていた野田一輝もエントリーメンバー入り。10000mで28分52秒39、ハーフマラソンで1時間3分43秒という記録を持ち、2年時には8区を走って区間5位だった野田が調子を上げ、順当に起用できれば大きな戦力になる。そしてもうひとつの大きなカギは、藤曲自身が2区で順大のエースとしての走りをし、チームを流れに乗せることが出来るかだ。

「順大であるからには優勝争いをしなければいけないと思うし、そこに加わっていかなければいけないということは、この1年間みんなに言ってきました。だからそういうものが少しでも見えるような走りをして、下級生につなげたい。彼らが、『俺たちは優勝争いが出来るチームになるんだ』ということを本気で思えるような走りを残したいと思います」

 そのために果たさなければいけないのは、“5強”の一角を崩す走り。

 それができるかどうかは、4年生の結束にかかっている。

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