第96回箱根駅伝出場校紹介BACK NUMBER

同校初の3年連続シード権を狙う拓殖大学。
中央学院大学は悔しい昨季の雪辱を期す。

posted2019/12/19 11:00

 
同校初の3年連続シード権を狙う拓殖大学。中央学院大学は悔しい昨季の雪辱を期す。<Number Web> photograph by Nanae Suzuki / Yuki Suenaga

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箱根駅伝2020取材チーム

箱根駅伝2020取材チームhakone ekiden 2020

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今回で96回目を数える東京箱根間往復大学駅伝競走。例年以上の大混戦が予想される2020年1月の箱根路では、21チームが健脚を競う。特色豊かな各チームの見どころとキーパーソンを、それぞれ紹介する。

拓殖大学

第95回箱根駅伝(前回大会):9位
7年連続、41回目

Key person of the TEAM:赤﨑暁(4年)

目指すは留学生との「Wエース」体制。
主力の抜けたチームに流れを作りたい。

文=折山淑美

 拓殖大学は前回大会、エースで主将だったワークナー・デレセ(現ひらまつ病院)をはじめ、箱根駅伝の出場経験のある4年生が5人もチームに残っていた。彼らの力もあり、拓大は1区18位と出遅れながらも、着実に盛り返して9位に入った。

 同校初の2年連続シード権獲得となったが、主力だった4年生たちは2019年春に卒業。新チームは、「箱根駅伝で6位以内に入り、3年連続のシード権獲得」を目標にしているが、10月の出雲駅伝では9位、11月の全日本大学駅伝は16位と苦戦が続いている。

 その中で、留学生の1年生、ラジニ・レメティキとともに気を吐く走りを見せているのが、今季チームの日本人エースに成長した4年生の赤﨑暁だ。

 熊本・開新高時代は、1年時からケガが多く、なかなか力を伸ばせなかった。高校駅伝の熊本県予選も3年になってようやく初出場。1区を走って区間5位という成績だった。だが、岡田正裕前監督が熊本まで勧誘に来てくれて、拓大への入学が決まってからは気持ちも入ったという。3年生の4月にようやく15分を切ったばかりだった5000mの自己ベストを10月に14分37秒43まで更新すると、11月の都道府県対抗駅伝の熊本県選考会では14分24秒84を記録。トントン拍子に都道府県対抗駅伝の熊本県代表に選ばれると、本番では4区を走って8人抜きの区間10位。「それが高校時代に、唯一目立つ結果でした」と赤﨑は苦笑するが、大学に入るとその立ち位置は変わっていった。

4年生に頼ってしまっていた。

 着々と力をつけた赤﨑は1年生で10区、2年生では3区と、箱根駅伝でも主要区間を任される存在になった。そして10000mで自身初の28分台を出した3年生の昨季は、出雲駅伝で最長区間の6区を走り、箱根駅伝ではスターターとなる1区を任された。

 だが、箱根駅伝本番では早々に遅れだし、シード権圏内となる10位の國學院大學にも1分29秒遅れの1時間4分26秒の区間18位という苦しい結果に。それを2区のデレセが12位まで引き上げ、3区でも4年生だった馬場祐輔が10位に押し上げた。赤﨑にすれば、4年生に助けられる形でのシード権獲得となったのだ。

「自分ではある程度『行ける』と思っていたので、あの結果はすごく悔しかったですね。ハイペースの展開になると思っていたのに予想外のスローペースで、その中のペースの上げ下げに対応できなかった。大学に入ってからは初めての1区だったので経験不足もあったんですが、単純に力不足だと思いました。デレセさんに頼っていたというか、1学年上の4年生が強い世代だったので、そこに頼ってしまっていた部分はあったかなと思います」

 留学生として同校初の主将を務めたデレセは、普段から他の選手にも積極的に声をかけていた。赤﨑自身も1区で失敗した後にも、デレセから「大丈夫だから」と声をかけてもらって気持ちが落ち着いたという。

 そんなデレセの姿は、赤﨑の記憶にも深く刻まれている。それまでは自分の事を考えていただけだったが、主将になった今季は選手層が薄くなったということもあり、積極的に声をかけている。自分だけが強くなるのではなく、他の選手の背中を押しながら、一人ひとりがレベルアップできるようなサポートも意識してきたという。

【次ページ】 芽生えてきたエースとしての自信。

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