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「歴史を変える挑戦」目指す國學院大學。
大エース卒業の順天堂大学は総合力で勝負。 

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箱根駅伝2020取材チーム

箱根駅伝2020取材チームhakone ekiden 2020

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photograph byYuki Suenaga / Nanae Suzuki

posted2019/12/20 11:00

「歴史を変える挑戦」目指す國學院大學。大エース卒業の順天堂大学は総合力で勝負。<Number Web> photograph by Yuki Suenaga / Nanae Suzuki

順天堂大学

第95回箱根駅伝(前回大会):8位
9年連続、61回目

Key person of the TEAM:藤曲寛人(4年)

スーパーエースの穴を埋める上級生たち。
「名門・順大」復活を誓う主将の手応え。

文=折山淑美

 前回、第95回箱根駅伝では、2区で日本人歴代最高となる1時間6分45秒を記録したエースの塩尻和也(現富士通)と、3年連続5区で安定した力を発揮した山田攻(現警視庁)の4年生がうまく機能し、往路は7位でフィニッシュ。復路もその流れに乗って総合8位に入り、2年ぶりのシード権を獲得した順天堂大学。今季は大黒柱だったその塩尻など、5人の4年生が卒業して、大幅な戦力ダウンを懸念されていた。

「塩尻さんは本当に手が届かなかったというか……ちょっと異次元というか、そういう感じの存在でもありました。やっぱり練習とかでも、後輩の立場から見ると『なんでそこまで走れるんだよ』という感じで(笑)。でも、走りでチームを引っ張ってくれた、本当に大きな存在でした。ただ、今は塩尻さんだけではなくて、当時の4年生の存在自体を大きく感じています。3年生まではあまり4年生の力には気が付かなかったんですけど、自分が4年生の立場になって初めて、これまでの先輩たちの伝統というか、そういう力がすごく大きかったんだなというのは感じます」

 今季、主将を務める藤曲寛人(4年)は、淡々とした口調でそんな風に話していた。学生長距離界で無類の強さをみせた大エースをはじめ、力のある上級生が抜けた不安も大きかったのだろう。

 ところが、ふたを開けてみれば11月の全日本大学駅伝では、総合順位こそ9位であったものの、終盤まで先頭争いに絡むレースを見せた。1区を4位でスタートすると、そのまま上位でレースを進め、5区では藤曲自身も区間2位の走り。6区では1年生の西澤侑真が前にいた東洋大学を交わし、追い上げてきた青山学院大学も9秒差で抑えて、2位での通過と大健闘の走りを見せた。

 箱根駅伝のチームエントリーを見れば、4年生と3年生が6人ずつというメンバー構成だ。そのうち4年生は4人が今季の全日本大学駅伝を走っており、その4人の中の3人が10000mで28分台を持つチームの柱になっている。さらに3年生も10000mでチーム最速の28分39秒54を持つ清水颯大と、出雲駅伝・全日本大学駅伝でいずれも1区を走った野口雄大のふたりに加え、11月の上尾ハーフマラソンで1時間4分13秒の自己新を出した原田宗広が10000mでも28分台に突入。チームエントリーのメンバーにも食い込んできた。残りの下級生もトラックでは高水準のタイムを持っている。

「一番レベルが高いチームになった」

 そんなチームを藤曲は主将としてこう見ている。

「僕が経験した4年間や、近年のチーム状況と比べてみても、一番レベルが高いチームになったと思います。練習でも今までで一番質の高い練習が出来ているし、それをできる人数がすごく多くなりました。塩尻さんというエースが抜けたことで危機感もある中で、全員が『崩れない走りをする』というのを意識していましたが、出雲駅伝も全日本大学駅伝も目標順位には届いていませんが、ある程度はそれが出来た。全日本大学駅伝での6区までの順位は少し驚きもありましたけど、『今までで一番レベルの高いチーム』だと思っていましたし、練習の成果がやっと出てきたかなという感じでした」

 そんなチームになってきたのは、これまで若干希薄だった勝利への執念が、徐々にチームにも浸透してきているからだという。

「全日本大学駅伝では、長門(俊介)駅伝監督に、走る前に『駅伝は記録を意識するものではない』という話をされました。『記録で走るものじゃなくて、誰に勝つかとか、他大学に競り負けないという気持が大事なんだ』ということを言われたんです。それに『ラップタイムなんてどうだっていい。時計なんか別に見なくてもいいんだ』とも言われました。そういう心構えの部分も、全日本大学駅伝では結果につながったのだと思います」

 そう藤曲は振り返る。

【次ページ】 距離が短い区間はスピードが生きたが。

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