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「キム・イェジュンのわき腹が…」井上尚弥の“ボディ3連発”で悶絶「すさまじい音がしました」世界的カメラマンの証言「それでもキムは勇敢だった」

posted2025/01/30 17:04

 
「キム・イェジュンのわき腹が…」井上尚弥の“ボディ3連発”で悶絶「すさまじい音がしました」世界的カメラマンの証言「それでもキムは勇敢だった」<Number Web> photograph by Naoki Fukuda

危なげなく挑戦者キム・イェジュンを退けた井上尚弥。カメラマンの福田直樹氏がリングサイドで感じた「ボディの衝撃音」とは

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福田直樹

福田直樹Naoki Fukuda

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Naoki Fukuda

 1月24日に有明アリーナで行われたスーパーバンタム級4団体統一戦。IBF、WBO指名挑戦者サム・グッドマンの負傷欠場により、WBO同級11位のキム・イェジュンが井上尚弥に挑んだ一戦は、4回2分25秒、モンスターの衝撃的なKOで幕を閉じた。“パンチを予見する男”と称される世界的ボクシングカメラマンは、この試合を撮影しながら何を感じていたのか。2024年のWBC総会で「PHOTOGRAPHER OF THE DECADE」を受賞した福田直樹氏に異例の一戦を振り返ってもらった。(全2回の2回目/前編へ)

キム・イェジュンが悶絶した「すさまじい音」のボディ

 4ラウンドは井上選手の攻めがさらに大胆になりました。ひとつひとつのパンチに力を込めて、ガードの上からでも大きなスイングの右を叩き込む。マーロン・タパレス戦(2023年12月26日)以降、TJ・ドヘニー戦(2024年9月3日)、そして今回と、井上選手はパワーを前面に出したボクシングを展開することが増えてきた印象です。言ってしまえば、緻密で精巧な技術を出す以前の戦力で倒せている。理路整然というより、パワー寄りのボクシング。力量差があるからこそできる攻め方です。

 劣勢のキム選手も頑張って出てきてはいましたが、すぐにジャブと右の強打で追い込まれた。井上選手の動きが1、2、3、4ラウンドとどんどん活発になっていって、完全にフィニッシュモードに入っていました。

 KO直前の左ボディも、1発、2発まではキム選手もなんとか耐えていた。それでも3発目は耐えられなかった。井上選手が得意とする“抜けていくようなボディ”です。すさまじい音がしました。「来い、来い」というキム選手に強烈な左ボディを続けたあのシーンは、容赦ない“詰め”に入っていたような気がしますね。もう、効かせるまで打ってやろうと。

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 こらえきれずにキム選手が横に回ってガードが下がったところに、力が逃げず、完璧な状態で伝わるワンツー。今回も見事なフィニッシュでした。ダウンしたキム選手が、苦悶の表情で右のわき腹を押さえていましたよね。タフなボクサーなのでワンツーだけならまだ立ち上がれたかもしれませんが、あのボディのダメージは……。タオルが投げ込まれたのも仕方ないと思います。

【次ページ】 試合後の拍手、圧倒的なスター性…カメラマンが感じたこと

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