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井上尚弥の“脳を揺らすカウンター”で「終わりが近い」じつは2ラウンドにあった予兆…世界的カメラマン“確信の1枚”「増えた筋肉…ものすごいカラダに」
posted2025/01/30 17:03
![井上尚弥の“脳を揺らすカウンター”で「終わりが近い」じつは2ラウンドにあった予兆…世界的カメラマン“確信の1枚”「増えた筋肉…ものすごいカラダに」<Number Web> photograph by Naoki Fukuda](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/6/1500wm/img_6614ff92bdb4bfbe787fd8daba0788f6505652.jpg)
キム・イェジュンの顔に左フックをヒットさせる井上尚弥。世界的ボクシングカメラマンの福田直樹氏は“異例の一戦”をどう見たのか
text by
![福田直樹](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/3/-/img_63c0172edf1a3eec5d5017836b5eb9301895.jpg)
福田直樹Naoki Fukuda
photograph by
Naoki Fukuda
1月24日に有明アリーナで行われたスーパーバンタム級4団体統一戦。IBF、WBO指名挑戦者サム・グッドマンの負傷欠場により、WBO同級11位のキム・イェジュンが井上尚弥に挑んだ一戦は、4回2分25秒、モンスターの衝撃的なKOで幕を閉じた。“パンチを予見する男”と称される世界的ボクシングカメラマンは、この試合を撮影しながら何を感じていたのか。2024年のWBC総会で「PHOTOGRAPHER OF THE DECADE」を受賞した福田直樹氏に異例の一戦を振り返ってもらった。(全2回の1回目/後編へ)
井上尚弥「正直きつかった」異例の経緯を辿った一戦
今回の井上選手の試合を語るうえで、試合が1カ月延期になったことに触れないわけにはいきません。昨年12月4日の公開練習の時点で十分に仕上がっていたにもかかわらず、延期になって再調整を強いられた。そして13日前に、サム・グッドマン選手からキム・イェジュン選手に対戦相手が変わった。試合後に珍しく「正直きつかった」と話していたように、メンタル的にも戦略的にも、決して簡単なことではなかったと思います。
対戦相手が変更になるまでずっと「グッドマン漬け」になって綿密に作戦を練っていたのに、急きょオーソドックスの相手(グッドマン)からスイッチもできる変則的なサウスポー(キム)に変わったわけですから、準備してきたものの大部分は見直しを迫られたはずです。スピードも違えばボクサーとしてのタイプも違う。普通ならもらわないタイミングで軽くパンチを被弾していたのも、実力差のわりに時間をかけて攻め落としていったのも、おそらくそれが原因でしょう。
対戦相手の変更は約2週前ですから、付け焼き刃で対策するのはむしろ危険だと考えたのでは。それよりも、会見で言っていたように「自分が今まで築き上げてきたもので戦う」と。映像はざっとチェックしていたそうですが、ほぼアドリブというか、実際の試合のなかで学習して組み立てていくことに重きを置いていたように感じました。