第96回箱根駅伝出場校紹介BACK NUMBER
強力ルーキーの初陣に期待の日本大学。
国士舘大学は留学生の快走で流れを作る。
posted2019/12/13 11:00
text by
箱根駅伝2020取材チームhakone ekiden 2020
photograph by
Shigeki Yamamoto
日本大学
第96回箱根駅伝予選会:7位
第95回箱根駅伝(前回大会):14位
2年連続、89回目
3年ぶりに実力で勝ち取った本大会出場。
その裏には有力新入生の存在あり。
文=田坂友暁
前回の第95回箱根駅伝は、節目の記念大会ということで、関東インカレ男子1部の2014年から2018年の5大会の陸上競技全種目の総合得点が最も多い大学に出場権が与えられた。この関東インカレ成績枠で本大会への出場を果たしたのが古豪・日本大学だった。
2大会前の第94回大会は箱根駅伝予選会で11位に沈み、本大会出場が叶わず。「これが今の自分たちの実力」と、2016年4月からチームを指導する武者由幸駅伝監督は、がっくりと肩を落としていた。
そんなどん底の状況にあったチームを救った、関東インカレ成績枠。この枠での出場によって、チームはひとつにまとまる。
「駅伝部門だけで獲得したのではなく、日大陸上競技部全員で獲得した箱根への出場権です。だから結果で日大陸上競技部全員に恩返しをしたい。自分たちだけのためではなく、僕たちにチャンスをくれた日大のためにも頑張らなければいけない」
当時3年生で、エースとしてチームを支えていた阿部涼はこう話していた。
「私たちは、強気でいくだけ」
だが、前々回大会は箱根駅伝予選会で落選していたチーム。そう簡単にシード権など獲れるはずもない。それでも選手たちは、自分たちの力の限り激走する。
近年スピード化が進む1区では、横山徹が区間17位ながらトップとは2分以内でたすきをつなぐと、2区ではパトリック・ワンブィが区間賞の激走を見せる。4区では武田悠太郎が区間8位、復路の苦しい場面では加藤拓海が7区区間10位で粘りの走りを見せた。さすがに総合順位は14位とシードには届かなかった。それでも選手たちは持てる力を出し切った。
実は前回大会、4年生で出場していたのは2区のワンブィと7区の加藤のみ。ほかは1~3年生で構成されていたのだ。つまり、今回の第96回大会は、本大会経験者が多く残る状態での出場になる。
よく言われることだが、箱根駅伝本大会は異様な雰囲気を醸し出す。練習してきたことを100%出し切れる選手など、ほんのひと握りだ。そのひと握りの選手たちがいるチームが、上位を狙えるのである。
「最近は、本当にひとつのミスが大きな命取りになっています。ひとつ間違えれば、どの大学でも一気に順位を下げたり、逆に順位を上げるチャンスもある」
武者駅伝監督もそう語る。
「だから私たちは、強気でいくだけです」
武者駅伝監督からは、どこか自信のようなものを感じた。その理由のひとつに、1年生の存在がある。