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「強化費はマイナス5億円」バドミントン協会はなぜ追い込まれたか? 渡辺勇大「日本代表の内定を辞退いたしました」異例の声明で浮き彫りになった課題

posted2025/01/30 17:11

 
「強化費はマイナス5億円」バドミントン協会はなぜ追い込まれたか? 渡辺勇大「日本代表の内定を辞退いたしました」異例の声明で浮き彫りになった課題<Number Web> photograph by JIJI PRESS

1月29日に渡辺勇大が発表した「日本代表辞退」を考える

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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 1月29日、バドミントンの渡辺勇大がSNSで日本代表辞退を発表し、反響を呼んでいる。

 渡辺は、東野(五十嵐)有紗と臨んだ東京、パリの両五輪のミックスダブルスで、2大会連続銅メダル。同種目では日本初のメダルを獲得するなど新たな歴史を築いた立役者だ。

 ミックスダブルスの認知度も飛躍的に高めた渡辺は、パリ五輪後、東野とのペアを解消し田口真彩と新たなスタートを切っていた。

バドミントン協会が発表していた「辞退した選手もいる」

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 今年に入り、1月21日に2025年度の日本代表が発表されたが、そこに渡辺の名前はなかった。代表からの落選と捉える向きもあったが、発表会見の時点で日本バドミントン協会側は「辞退した選手もいる」と語っていた。その一人が渡辺であったことになる。

 渡辺はこのように綴っている。

「従来(2024年8月まで)の日本代表は協会派遣時、大会負担金(参加料のようなもの)を日本バドミントン協会に選手(所属チーム)が支払うことで渡航費、宿泊費、現地での諸々の手配等を負担いただいていました。

 しかし、日本バドミントン協会の財務状況の悪化に伴い、強化予算の見直し、強化方針の変更が行われ、2024年9月以降は、日本代表であっても世界ランキングの低い選手は自費で遠征をまわらなければならなくなりました。」

協会の強化費“マイナス5億円”の最大の理由

 この数年、協会は厳しい運営状況にあった。

【次ページ】 協会の強化費“マイナス5億円”の最大の理由

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