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ドーピング問題でロシア出場除外。
東京五輪のメダル争いはどうなる?
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2019/12/15 19:00
臨時常任理事会後に開かれた記者会見。今後4年間、国際大会でロシア国旗の使用は認められなくなった。
データの改ざんを図っていた。
昨年9月になり、WADAは過去の検査データの提供を受けるという条件のもとに、ロシア反ドーピング機関の資格停止を3年ぶりに解除した。だが、約束の期限は守られず、提供したデータの改ざんを図っていたことが判明した。
そのため、今回の処分に至った。ロシアがスポーツ仲裁裁判所に提訴し、その判断によって状況が変わる可能性もないとは言えないが、現段階では、容易ではない。
基本的には、集団責任的な考え方には与しないし、ロシアにもおそらくは、ドーピングと無縁のクリーンな選手はいるだろう。選手が知らない間に、コーチなどの指示により禁止薬物を摂取していた可能性も考えられる。
潔白を証明できれば、個人資格で出場できるとはいえ、クリーンな選手などにとってみれば、巻き添え、という形になる。気の毒というほかない。
約3分の1は現役アスリートのデータ。
ただ、今回の処分に至った背景には、先に触れたように、ロシア側が提出期限を破るなど、交わした約束を履行しなかったことがある。
しかも今回、期限遅れで提供したデータの中で、捏造や改ざんが認められ、その約3分の1は現役アスリートのデータであることも大きいだろう。
ロシアのドミートリー・メドヴェージェフ首相は、「こうした処分が繰り返され、すでに何らかの形で処罰を受けた選手にも影響を与えるなど、慢性的になった反ロシア・ヒステリーの一部だと思えてしまいます」と処分を批判した。
その一方で、そう述べる前に「ロシアのスポーツ界にまだ相当のドーピング問題が残っているのは明らかであり、それを否定することはできません」と、ロシアにはまだドーピング問題が残っていることを認める内容の言葉も発していた。