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小笠原満男が子供に説く海外の心得。
「寝られなくても目を閉じればいい」

posted2019/12/13 08:00

 
小笠原満男が子供に説く海外の心得。「寝られなくても目を閉じればいい」<Number Web> photograph by Hirokazu Ikeda

今年の夏、鹿島アカデミーの子どもたちと訪れたブラジル。25年前の記憶を辿りながら、その経験を伝えた。

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池田博一

池田博一Hirokazu Ikeda

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Hirokazu Ikeda

 初めてブラジルへ行ったのは15歳のときだった。

 日本を出て24時間をゆうに超えるフライトを経て、ガレオン空港(当時)に降り立つ。空港を出るやいなや、バスの窓には貧民街の光景が広がった。住居の壁にスプレーで書かれた落書き、公園でサッカーをする裸足の少年たち。これまで見たことのない景色に、驚きを隠せなかった。岩手県盛岡市から出てきた当時中学3年の小笠原満男にとって、大きな衝撃だった。

「中学3年のときにブラジルへ行ったのが、初めての海外遠征だったかな。それこそU-17世界選手権の事前合宿で、ソガ(曽ケ端準)、小野伸二、高原直泰、稲本潤一たちと一緒に。最後の最後でメンバーに選ばれなかったけど、合宿でエクアドルへ行ったりしたのもいい経験になった」

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 かつて20万人を収容した歴史あるマラカナンスタジアムにも行った。しかも、公式戦の前座試合でU-15日本代表vs.U-15ブラジル代表の試合に出場し、ピッチにも立っている。初めてのブラジルでの経験は、選手としても、いち人間としても、強烈なものだった。

「どんな環境でも自分をベストの状態に持っていくために、順応するのは大事なこと。“日本はこうだ”ではなくて、世界にはいろんな国があるんだよね」

小笠原が大事にした“散歩”。

 その後も様々な国への遠征を経験したが、ちょっと時間があればその国を知るために散歩をしたという。

「インドでは裸に裸足の生活をしている人もいたり、ご飯を満足に食べられない人がいたり、家のなかだと暑くて外の方が涼しいから、道路で寝っ転がっている人もいたり。ナイジェリアでは民家に行って、現地の人と話したりした。“郷に入っては郷に従え”ということわざじゃないけど、やっぱり俺はその国を知るということが大事だと思う」

 様々な価値観を知ることで、サッカー選手としてだけでなく、いち人間として成長すると確信している。だからこそ、順応をすすめるのだ。

【次ページ】 25年ぶり「昔はもっとひどかった」。

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