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小笠原満男が子供に説く海外の心得。
「寝られなくても目を閉じればいい」
text by
池田博一Hirokazu Ikeda
photograph byHirokazu Ikeda
posted2019/12/13 08:00
今年の夏、鹿島アカデミーの子どもたちと訪れたブラジル。25年前の記憶を辿りながら、その経験を伝えた。
しっかり食べて寝ること。
長時間の移動をともなう遠征において、大事なことは“しっかり食べて寝ること”だと小笠原は言う。
「どんなに暑くても、寒くても、寝られないといけない。現地のごはんが口に合わなくても、機内食でもなんでも自分の体のためにしっかり食べないといけない」
これまで体感したことのない環境は、人に不安も与える。初めての海外遠征に挑戦する子どもたちのなかには、メンタル面のストレスによって、何もないのに顔色が悪くなって体調を崩すことも珍しくない。
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「(移動中に)寝られなかったら、映画とかを見るんじゃなくて、目を閉じればいい。それだけでも違うんだから」
体を休めることができなければ、パフォーマンスは落ち、ポジションを失うだけ。これはトップの選手はもちろん、日本代表や海外組の選手たちにとっても同じことだ。
「どんなところでも、きちんと寝て、きちんと食事をとる。これができないと、パフォーマンスは落ちる。そうなれば、やっぱり上にはいけないし、通用しない。それは育成も一緒。そういった考えを今から学ぶのはすごくいいこと」
今もなお、尽きない勝利の追求。
食事、時差、長距離移動。そういったことを言い訳にせず、どんな状況にも順応して、いかに“勝つ”ことができるか。「何事も“経験”するのは大事」と小笠原はよく言う。
「今回のブラジル遠征では、世界のレベルを体感することで多くの刺激を受けて、基準を変えることができた。対戦した選手のなかには、1~2年後にブラジルのトップで活躍する選手が必ず出てくる。それは過去のこの大会を見ても言えること。この刺激を忘れないように、アントラーズアカデミーとして、今後につながるような取り組みをしていきたい」
今回のブラジル遠征で、また1つ新たな視野が広がった。目指すものは、“勝利のために何ができるか”。その追求は、現役時代も今も変わらない。