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小笠原満男が子供に説く海外の心得。
「寝られなくても目を閉じればいい」
text by
池田博一Hirokazu Ikeda
photograph byHirokazu Ikeda
posted2019/12/13 08:00
今年の夏、鹿島アカデミーの子どもたちと訪れたブラジル。25年前の記憶を辿りながら、その経験を伝えた。
25年ぶり「昔はもっとひどかった」。
今年8月下旬。中学3年の鹿島アントラーズアカデミーの子どもたちとともに、2度目のブラジルへ降り立った。第22回日伯友好カップに出場するアントラーズジュニアユースの3チームに同行するためだ。アカデミー・アドバイザーとしてアントラーズ育成部門の全カテゴリーに対してサポートを行うようになってから、8月上旬の上海遠征に続いて、2度目の海外遠征帯同となる。
25年を経て感じた印象は、「昔はもっとひどかった」ということ。街並みは過去に見たものより、まだきれいになった印象で、時の流れを感じさせた。
今回の滞在は8月25日から9月7日までの14日間。日伯友好カップとは、フラメンゴ、サンパウロ、フルミネンセ、ボタフォゴなど、ブラジルの強豪クラブが参加する、ジーコが創設したブラジル国内においてもっとも大きな中学生年代の大会だ。現役時代、何度も海外遠征を経験した小笠原は、15歳当時に感じたことを思い出した。
タフな状況でも結果を出し続ける。
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「海外遠征は、移動が大変だし時差もある。そのなかでも結果を残さないと、メンバーには残れないし、試合にも出られない。タフでたくましく、図太く強く。そうでないとやっていけない。例えばエクアドルでは、高地にも順応しないといけなかった。簡単じゃないなって思ったよね」
旅行ではない。移動して、時差があって、そのなかで試合をする。世界で戦う選手たちは、同じタフな条件を目の前にしながらも結果を出し続けることで上にいく。
「昨年のACL(AFCチャンピオンズリーグ)で優勝したけど、本当にいろんなことがあった。バスで何時間も移動してからサッカーをしないといけない。そういう環境を言い訳にせず、それでもパフォーマンスを出せる人が、トップチームや日本代表で活躍できる。サッカーがうまいだけじゃない。人としての強さを持っていないとやっていけないよね」