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サニブラウンの“ライバル”が来日。
箱根駅伝「タスキ」から学んだこと。

posted2019/12/10 08:00

 
サニブラウンの“ライバル”が来日。箱根駅伝「タスキ」から学んだこと。<Number Web> photograph by Keigo Amemiya

米国オリンピック・パラリンピック委員会による東京2020に向けた「Thank you,Japan」プロジェクトのため来日したノーマン(中央)

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雨宮圭吾

雨宮圭吾Keigo Amemiya

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Keigo Amemiya

「陸上男子短距離の選手である」

「東京五輪のメダル候補として名前が挙がり、大学在学中にプロ転向。アメリカに住んで日本人の母を持ち……」

 ピンポーン! 「サニブラウン・アブデルハキーム!」

 せっかちな自分のような人間はそう答えてしまいそうだが、

「200mの自己ベストは19秒70、400mでは43秒45の世界歴代4位のタイムをマークしている」

 ここまで言われるとお手つき、誤答だったと気づく(サニブラウンの200m自己ベストは20秒08。記録は全て12月9日現在)。

“米国新世代スプリンター三羽烏”の1人。

 この場合、正しいのはマイケル・ノーマン。今年の世界選手権男子100m金メダルのクリスチャン・コールマン、同200m金メダルのノア・ライルズとともに“米国新世代スプリンター三羽烏”と目される22歳である。

 そして、ポスト・ボルト時代を担うそのスーパースター候補が11月中旬に日本を訪れていた。ノーマンの母・伸江さんは静岡県浜松市出身で100mの元日本中学記録保持者だ。

 ノーマンの初来日は今年5月。セイコー・ゴールデングランプリ大阪に出場し、男子200mを19秒84で制した。彼にとって母の祖国を訪れるのは今回が2度目のこと。今回は試合出場とはまったく違う一風変わった目的での来日だった。

 ノーマンが向かったのは東京都八王子市にある中央大学。同大陸上部の選手たちと交流し、日本ならではの駅伝文化を学ぶために貴重な時間を割いたのだった。

 タスキとは何か、どうかけるのかに始まり、箱根駅伝とはどんなイベントなのかなどレクチャーを受けたノーマンは、5区が標高874mの最高点まで16kmほどの山上りだと聞くと、「そんなヤバいことをやるのか?」と目をひん剥いて驚いていた。

【次ページ】 「個人の努力がチームとしての結晶になる」

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