第96回箱根駅伝出場校紹介BACK NUMBER
変化した強さを見せる日本体育大学。
明治大学の大黒柱は復活なるか。
posted2019/12/11 11:00
text by
箱根駅伝2020取材チームhakone ekiden 2020
photograph by
Shigeki Yamamoto / Yuki Suenaga
日本体育大学
第96回箱根駅伝予選会:3位
第95回箱根駅伝(前回大会):13位
72年連続、72回目
4年生が見せる日体大のプライド。
粘りの走りで上位進出を狙う。
文=杉園昌之
箱根駅伝の前哨戦となる11月3日の全日本大学駅伝では14位に沈んだが、これだけで日体大の力は測れないだろう。
主力の半数近くは伊勢路を回避し、10月26日の箱根駅伝予選会に力を注いでいたのだ。
無事に3位で通過して72年連続の出場を決めると、そこから正月に向けて調整に入った。
すべては本大会から逆算してのこと。前年度にシード権を4年ぶりに逃したものの、10度の総合優勝を誇る名門のエース・山口和也(4年)は自信をのぞかせる。
「シード権は最低限。トップ3もいける気がしています。昨季とは違います。チームの雰囲気は2大会前に似ているんです。あのときのように往路で粘り、復路につなげたい」
第94回大会は往路を7位で折り返し、復路で追い上げて総合4位でフィニッシュ。当時、山口は2年生で復路の8区を走り、区間3位と好走。初めての箱根路は、思い出深いものになっている。
「個人としても、チームとしても日体大らしい粘りのある走りができたと思います」
上下関係をなくして雰囲気が変わった。
3年時はさらに充実したシーズンを送るつもりだったが、予期せぬ事態に見舞われる。'18年9月から急遽、選手主体の運営で箱根駅伝に臨むことに。
「僕自身は動揺せずに、目的を持って練習するだけだと思っていましたが、全体としてはまとまり切れなかったと思います」
練習で思うように追い込めず、選手たちで話し合った区間配置も最後まで紛糾した。
苦しんだ末、シード圏内にも届かない総合13位で涙をのんだ。今年度は体制を刷新。横山順一監督と小野木俊コーチのもと、一から再建した。
チームの変化とともに山口も最終学年になり、意識が変化した。周囲に気を配り、練習から後輩に積極的に声を掛けるようになった。部内の厳しい上下関係をなくしたことが奏功し、雰囲気はガラリと変わったという。
それを象徴するように下級生が伸び伸びと走っている。箱根駅伝予選会でチームトップのタイムを叩き出した1年生の藤本珠輝は、11月17日の上尾ハーフでも1時間2分46秒と自己ベストを更新した。3年生コンビの亀田優太朗と野上翔大も1時間3分台で走るなど、中間層の成長も著しい。
「練習から1年生がガンガンくるので、普段からいい競り合いができています。僕もスパートの勝負では負けないようにしていますし、それが試合でも生きています」