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サニブラウンの“ライバル”が来日。
箱根駅伝「タスキ」から学んだこと。
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byKeigo Amemiya
posted2019/12/10 08:00
米国オリンピック・パラリンピック委員会による東京2020に向けた「Thank you,Japan」プロジェクトのため来日したノーマン(中央)
「またプライベートでも来てみたい」
「日本は自分のバックグラウンドにも関係のある大切な国。またプライベートでも来てみたい」と語るノーマンにとっても、日本の人々と関係性を深める機会は決して無駄にはならない。
昨年6月にプロ転向し、初出場となった今年の世界選手権では男子400mで準決勝敗退。優勝候補と目されながらも体の異変を感じて力をセーブしたことで敗れた。
「あの大会でいろんなことを学んだ。あの場で決断したことは間違いではなかったと思っているし、今はよりモチベーションが高まっている」
初めての大舞台での苦い経験が、東京五輪に懸ける思いを一層強くした。だからこそ日本で力を発揮できる環境が必要なのである。
6月のダイヤモンドリーグ・ローマ大会では、同種目で近年負けなしの強さを誇っていたライルズを破るなど200mでも金メダルを争える力がある。だが、東京五輪では両方出場した場合の過密日程も考慮して、2冠に固執せずに400mに専念することを決めた。
そして待望の金メダルを獲得した暁には、200mだけでなく、100mへの挑戦も視野に入れているという。
自立してライフスタイルを組み立てる。
どことなく似たような経歴を持ち、将来的にはライバル関係ともなりそうなサニブラウンに対しては、こう助言を送る。
「プロとしての自覚をもって生活することが大切だ。大学生であると同時にプロとしての活動もしなければいけない。大学のチームではスケジュールが決められて自動的に規則正しい生活を送れるが、プロになると他の要素がいろいろと入ってくる。自立した個人としてライフスタイルを組み立てる意識が必要だよ」
五輪前には国立競技場で行われる5月のセイコーグランプリ東京への出場も検討中。そこでまた一歩、日本と親密になることができれば、五輪本番での金メダルの夢にもまた一歩近づけるのかもしれない。
「中大生のみなさん、頑張ってください。母に相談して、箱根駅伝を見られるものなら見てみたいです」と語っていただけに、その時は箱根駅伝の感想も聞けるだろうか。