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冨安健洋復帰はボローニャの希望。
初CBで2失点も拍手が起きた理由。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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photograph byUniphoto Press

posted2019/11/28 11:40

冨安健洋復帰はボローニャの希望。初CBで2失点も拍手が起きた理由。<Number Web> photograph by Uniphoto Press

初のセンターバック出場で2失点。それでもボローニャファンは冨安健洋に熱い声援を送った。

冨安欠場の5試合で平均失点が悪化。

 ただし、リーグ戦が進むにつれて、ミハイロビッチ不在の影響がじわじわと影を落とし始めている。カリスマ性を持つ指揮官が実戦の場にいないと、一部の選手が認める通り、試合でのパフォーマンスが鈍るのだ。

 病身のミハイロビッチがベンチで指揮を執った今季4試合の方が、残りの9試合よりも勝ち点率で上回っていることも、フロントにとってはジレンマだろう。

 冬市場でのテコ入れとして、LAギャラクシーを退団した大物FWイブラヒモビッチ獲得の動きもあるが、今のボローニャに必要なのは“昨季は昨季、今は今”という、頭の切り替えではないか。

 冨安が右SBで攻守をケアしていた今シーズン序盤、1試合あたりの失点は1.29だった。しかし、彼が欠場した5試合ではそれが2.2へと悪化。チームは4敗を喫した。つまり、新加入選手の中でも“大当たり”といえる冨安の戦線復帰は、クリスマス前までに10位程度まで順位を回復したいチームにとって大きな福音となるはずだ。

“トミ”が今求められている役割。

 パルマ戦後、冨安には日本とイタリア双方の報道陣から「CBとSB、どちらがいいか」という趣旨の質問が飛んだ。

 大柄な“トミ”は答えに詰まった。

 真っ直ぐに宙を見つめて考えをまとめたり、英語での質疑応答にややはにかんだ笑みを浮かべたりしながら「同じではないがどちらも大事。試合に出ることが重要」と、自身の考えを述べた。

「サイドバックをやるにしてもセンターバックをやるにしても、僕はどちらかというと攻撃面でファーストプレッシャーをかわしてボールを前に進める、ということを求められている、と感じる。

 そういった意味で、今日もボールを運びながら前につける(自分の持ち味)は出せたかなと思う。でも逆に守備ももっと成長しなくちゃいけないな、というのはCBでも右SBをやっているときにも感じます」

 現在、冨安がボローニャで課されている役割は、セリエAの新人DFに与えられるものとしては破格に重い。おそらく賢明な冨安はそこに気がついているだろうし、高い期待に応えようとさらに歯を食いしばるのだろう。

【次ページ】 イタリア語の指示も問題なく。

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