セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
冨安健洋復帰はボローニャの希望。
初CBで2失点も拍手が起きた理由。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byUniphoto Press
posted2019/11/28 11:40
初のセンターバック出場で2失点。それでもボローニャファンは冨安健洋に熱い声援を送った。
2失点の責を問うのは酷だろう。
17分にボローニャが奪われた最初の失点は、冨安が関与できない位置から打たれた、技ありの一撃だった。
決めたのは19歳の新鋭FWクルセフスキで、今冬にもユベントスやインテルが獲得すると噂されるスウェーデン代表の俊英だ。
パルマの攻撃陣はFWジェルビーニョとFWイングレーゼの2大エースを怪我で欠いていたが、クルセフスキは“偽9番”を務めたベテランMFクツカとともにボローニャの最終ラインを何度となく急襲した。
クツカをマークした冨安は不用意にも37分に警告を受けた。62分にはクルセフスキに強烈なボレーを打たれたが、これは左ポストに救われている。
71分に喫した2失点目の責を冨安に問うのも、少々酷だろう。
味方のボールロストに端を発する相手カウンターに対応できたのは、冨安だけ。ボールロストした当のFWパラシオは懸命に戻ったものの、より早く正面を向いた冨安にすれば実質1対2の場面で、ボールを持ったMFクツカにとって完全有利の場面だった。
突進してきたDFヤコポーニへのスルーパスをカットできていたら、それこそ超一級のプレーと大絶賛されたにちがいない。
ベンチに下がる際、拍手が送られた。
1−2。残り少ない中で何とか追いつきたいボローニャは77分に右SBエムバイェを下げ、攻撃的MFオルセンを入れた。それによって空いた右SBに冨安がスライドし、MFメデルがCBに入りながら、ボローニャは終盤の反撃を試みた。
前に出ようとした冨安だが、復帰初戦は本人の想像以上に負担がかかっていたらしい。
「いろいろなところがつってしまって。チームに迷惑かけるわけにはいかないから」と、81分に腕を交差させて自ら交代を申し出た。
本拠地レナート・ダッラーラの2万人の観衆は、ベンチへ下がる冨安に対して復帰戦の健闘を称え、拍手を送った。