セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
冨安健洋復帰はボローニャの希望。
初CBで2失点も拍手が起きた理由。
posted2019/11/28 11:40
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Uniphoto Press
ボローニャDF冨安健洋が戦線復帰した。
10月10日に行なわれた日本代表戦で左大腿二頭筋を痛めて以来、欠場を続けていたが、11月24日のセリエA・第13節のパルマ戦で6戦ぶりに先発出場し、復調を印象づけた。チームは2−2で引き分け、4試合ぶりの勝ち点を上げている。
冨安は今夏の移籍以来、初めて“本職”のセンターバックとしてプレーした。
「(試合前には)CBで組むステファノ(・デンスウィル)と『ゼロ(失点)に抑えよう』と言っていたんですけど、2失点してしまったので満足のいく結果ではないです」
セリエA史上初となる日本人CBは謙虚に試合を振り返ったが、その仕事ぶりは決して悪くなかった。
主戦CBコンビのダニーロとバーニがともに出場停止で、左サイドバックのダイクスも負傷離脱中。チームは3連敗中で攻守の駒不足という苦境に、冨安へお鉢が回ってきた。怪我上がりとはいえ、本職での実戦能力をアピールする絶好のチャンスだった。
守備でのタスクと縦方向へのパス。
課されたタスクは数え切れない。すっと背筋を伸ばした冨安は、パルマ戦のキックオフの瞬間から多岐に渡る仕事を丁寧にこなした。
左右の味方SBにマークの指示を出す。ボールホルダーに体を当ててパスコースを潰し、相手にボールを下げさせる。上下左右から飛んでくるクロスへの警戒も怠らず、シュートコースも切る。
加えて、機を見ては中盤まで自らボールを持ち上がった。右サイド前方に走るFWオルソリーニや“偽9番”FWパラシオへ縦方向へのパスを通すことで、攻撃の起点にもなった。
フィールドプレーヤー最後の壁がミスをすれば、その後方で守るGKはたちまち孤立し、失点のピンチに直面する。だから、守備の国ではCBという職分に厳しい目を向けるし、背負う責任の重さに敬意を払う。