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ACL決勝だからこそ感じられたこと。
レッズ、この完敗を意味あるものに。 

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寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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photograph byGetty Images

posted2019/11/25 19:00

ACL決勝だからこそ感じられたこと。レッズ、この完敗を意味あるものに。<Number Web> photograph by Getty Images

他のクラブにも増して、浦和レッズにとってACLは特別な大会である。この決勝戦は彼らに何を残しただろうか。

阿部勇樹が後輩に向けた言葉。

 2007年の初優勝から、2017年、そして今回と3度決勝の舞台にたった阿部。優勝すれば、史上初の同クラブによる3度目だったが、実現はしなかった。

「キレイに勝って優勝するほうがいい経験にはなると思う。でも、敗戦したときに味わうのは悔しさだけじゃないはず。自分が目指すべきプレー、試合というのを感じ取ることもできたに違いないから、それを成長に繋げていかなくちゃいけない。

 今日の相手はすごく強くていいチームだった。でもそれだけで終わらずに、チームとしても選手自身も感じたものがあるはずだから。またACLの舞台に戻るために、来季しっかりJリーグで結果を残すしかない。浦和レッズというチームは、そういうふうにやっていかないといけないクラブだと思う。浦和レッズの未来を考えた時には、常にACLに出場することが大事だから」

ACLに出ることの価値と難しさ。

 サウジアラビア代表を数多く有し、欧州や南米の実力者を配したアルヒラル。そんな相手との対戦で体感したものを忘れずに日々を過ごすのは、簡単なことではない。

 だからこそ、ACLに出場し勝ち上がらなければならない。ACLという大会が、選手にとってどんなに大切かを若い関根や岩波、そして橋岡が味わえたこと。それを糧に浦和はチームとして、クラブとして進化できるのか。

 そのためにも、重要なのは残りのリーグ2試合。まだJ1残留が決まっていない浦和にとっては「今日の試合も大きいけれど、残り2試合のリーグ戦も今日と変わらず大きな試合」と阿部はいう。

「しっかりと残留し、また繋げていかないといけない。終わったらそこで終わりだから。繰り返し、繰り返し、繋げる。それの繰り返しだと思うので。がんばりたいなと思うし、がんばる理由がひとつ増えた。いろんな日本のチームがACLに出場するけれど、やっぱり浦和レッズが出ないとつまらないってなるようにしっかりとやっていきたい」

 ACLの決勝へ進出することの難しさは、ACLを戦った選手ならば、クラブを問わず誰もが感じているだろう。その結果の準優勝は、もしかしたらグループリーグ敗退よりも悔しさは大きなものかもしれない。それでも、それを味わえたのは決勝へ進出したからだ。

 歓喜の金メダル以上に、銀メダルは重く、そして意味があったという未来を作ってほしい。

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