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ACL決勝だからこそ感じられたこと。
レッズ、この完敗を意味あるものに。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byGetty Images
posted2019/11/25 19:00
他のクラブにも増して、浦和レッズにとってACLは特別な大会である。この決勝戦は彼らに何を残しただろうか。
攻撃のための交代が効果が出る前に。
後半29分、攻撃に出たところで縦パスを奪われ簡単にカウンターを許した。左サイドの関根が戻って体を当てたがカリージョに突破され、ペナルティエリア内でパスを繋がれ、最後はサレム・アルドサリにゴールを許した。
0-1となり、優勝には3得点が必要となる。
攻撃的な能力が武器の関根が、ひとりでカリージョを抑えるのは難しい。チームとして、組織で相手のチャンスメーカーを抑えなければならない。しかし、時間の経過とともに1対1でボールを奪われるシーンが増え、浦和の守備組織は疲弊していった。
浦和が打ったのは、攻撃陣の交代策だった。得点を奪わなければ勝てない。後半18分、長澤に代えて柏木陽介を、26分にはファブリシオに代えて杉本健勇が投入されている。
0-0という均衡を破るための交代策だったが、明確な変化を出す前の手痛い失点だった。
阿部勇樹が送り込まれたミッション。
「後半も前からという気持ちもありましたけど、そこを上回られたというか、相手も焦れずにカウンターを狙って来た。ボールを奪えずゴール前まで行かれるシーンが続いた。
カリージャのスピードをファールでしか止められない状況が続いたり、スライディングへいって、かわされて数的不利になる場面もいくつかあった。時間が経つにつれて焦るのはこっちだし、そこを相手に突かれたのかもしれない」
岩波が後半の状況を語る。
1点をリードしたアルヒラルに急ぐ理由はない。逆に、急ぐ浦和をあざ笑うかのように簡単にボールを奪い、そこから攻めに出た。
後半43分、青木に代わり阿部勇樹がピッチへ送り出される。
「仕事というか、少しでも前へ行かせようと思っていた。点を獲らなくちゃいけない。1点獲られて難しい状況になったのは事実。でも最後まであきらめずにやらなくちゃいけないし、最後まで一緒に戦って声を出してくれたサポーターのためにも、まず1点獲ること。
そうすれば、サッカーは何が起こるかわからないスポーツだから。スタジアムの雰囲気や仲間の雰囲気が変わると思ってはいましたけど……残念ですね」
終了間際にゴミスに追加点を決められ、試合は終了した。