JリーグPRESSBACK NUMBER
ACL決勝だからこそ感じられたこと。
レッズ、この完敗を意味あるものに。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byGetty Images
posted2019/11/25 19:00
他のクラブにも増して、浦和レッズにとってACLは特別な大会である。この決勝戦は彼らに何を残しただろうか。
攻めるか、守るか、難しい試合。
「難しい試合だった」
大槻毅監督は試合後の会見で、何度となくそう口にしている。
ファーストレグを0-1で終え、セカンドレグをどう戦うのか。得点しなければ勝てないが、失点すれば苦境に立たされる。攻守のバランスをどう作るのか。相手の出方を見ながら、どう時間を費やすのか。
しかも相手の力は、東アジアで対戦してきたチームと比べても、2年前に対戦したときに比べてもはるかに高い。
サイドに立つ関根、橋岡といった浦和の攻撃の鍵を握る選手たちが、相手の強者との対峙から逃れられない。カリージョ対策で守備的な選手を起用することも可能だったが、ゴールへの道筋は狭くなる。実際に、関根の力がチャンスを生んでもいた。しかし、ゴールには繋がらなかった。
関根、岩波の後悔と充実。
「2年前との違いでいえば何人か選手が代わったけれど、僕がいるかいないか。結局そこで取れなかったのがすべてなので、申し訳ないなという気持ちしかない。失点に絡んだのも僕だし、ゴールを決められなかったのも僕なので。浦和を背負う責任が僕にはないと思う。
それだけの選手になりたいという思いはあっても、結果を残さなければ意味がないので、今は落ち込んでますけど、浦和に居る限り浦和のために頑張りたいと思います」
試合後、そう語る関根貴大の声には熱がこもっていた。今年の夏に欧州から移籍加入。オフのないまま1年半戦い続けている。自身が担う期待の大きさを感じているからこそ、逃したものの大きさに心をえぐられるような落胆を抱いているのだろう。
神戸に在籍していた2年前、ACLで優勝する浦和の姿を目にして移籍を決意した岩波は、敗戦を受け止める。
「初めての大会でここまで進んでこれたというのは、大きい財産になると思います。ここで負けたというのも、また自分がこれからサッカーをするうえで忘れられない時間になった。
ホームで逆転してというのを何日も何日も思い描いてましたけど、叶わなかった。これもサッカーだと思いますし、また勝者になれるように頑張りたい」