“Mr.ドラフト”の野球日記BACK NUMBER
高校野球で無名→ドラフト上位指名。
日本一の慶應大に見る逆転の要因。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byKyodo News
posted2019/11/27 11:40
慶大・大久保監督の指導のもと、大きな飛躍を遂げた選手たちが掴んだ19年ぶりの大学日本一だった。
大学で飛躍し、指名された選手たち。
'15年に指名されのちにチームの主力になった今永昇太(北筑高→駒澤大→DeNA1位)、多和田真三郎(中部商高→富士大→西武1位)、岡田明丈(大商大高→大阪商業大→広島1位)、茂木栄五郎(桐蔭学園高→早稲田大→楽天3位)は高校時代、いずれも有名な選手ではなかった。
'16年の濱口遥大(三養基高→神奈川大→DeNA1位)、大山悠輔(つくば秀英高→白鴎大→阪神1位)、京田陽太(青森山田高→日本大→中日2位)、田中和基(西南学院高→立大→楽天3位)もほぼ無名の高校時代を過ごし、源田壮亮(大分商高→愛知学院大→トヨタ自動車→西武3位)、平井克典(飛龍高→愛知産業大→Honda鈴鹿→西武5位)の社会人出身組も高校時代は無名だった。
'17年の東克樹(愛工大名電高→立命館大→DeNA1位)、神里和毅(糸満高→中央大→日本生命→DeNA2位)、高橋礼(専大松戸高→専修大→ソフトバンク2位)、'18年の近本光司(社高→関西学院大→大阪ガス→阪神1位)、上茶谷大河(京都学園高→東洋大→DeNA1位)、高橋優貴(東海大菅生高→八戸学院大→巨人1位)、甲斐野央(東洋大姫路高→東洋大→ソフトバンク1位)、松本航(明石商高→日本体育大→西武1位)も同様である。
エリートに負けじと切磋琢磨することで。
高校時代から有名だった大卒選手は現在の球界では、亀井善行、菅野智之、小林誠司(ともに巨人)、高山俊(阪神)、野村祐輔、大瀬良大地(ともに広島)、柳裕也(中日)、石川雅規(ヤクルト)、東浜巨(ソフトバンク)、中村奨吾、井上晴哉(ともにロッテ)、有原航平(日本ハム)くらいである。
そう考えると、無名の高校球児が進学先に選ぶのは名門の東京六大学や東都大学リーグ1部ではなく、地方や2部リーグの大学になるのは自然な流れなのではないか。広島経済大卒の柳田悠岐(ソフトバンク)、八戸学院大卒の秋山翔吾、富士大卒の山川穂高、外崎修汰(ともに西武)たちが、無名だった高校時代の鬱憤を晴らそうと、大学で必死になって野球に集中する姿を私は容易に想像できる。