“Mr.ドラフト”の野球日記BACK NUMBER
高校野球で無名→ドラフト上位指名。
日本一の慶應大に見る逆転の要因。
posted2019/11/27 11:40
text by
小関順二Junji Koseki
photograph by
Kyodo News
明治神宮大会を制した慶応義塾大(以下、慶大)。大会前から優勝候補ナンバーワンに挙げられ、東海大学札幌キャンパス、城西国際大、関西大(以下、関大)を圧倒した強さは、近年の優勝校の中でも頭1つ抜けていた。
ドラフト会議で指名された津留崎大成(投手・楽天3位)、郡司裕也(捕手・中日4位)、柳町達(外野手・ソフトバンク5位)の3人と、社会人へ進む高橋佑樹(投手)、中村健人(外野手)の4年が主力になり、来年以降も佐藤宏樹(投手・3年)、木澤尚文(投手・3年)、森田晃介(投手・2年)、正木智也(外野手・2年)などドラフト候補が続いている。この選手層の厚さは東京六大学リーグはおろか、全国的に見ても屈指と言っていい。
走力、長打力が備わっていた慶大。
慶大でまず思い浮かぶのは走る能力の高さだ。
2018年の東京六大学春季リーグ戦の対立教大(以下、立大)3回戦で、私が俊足の基準とする「一塁到達4.3秒未満、二塁到達8.3秒未満、三塁到達12秒未満」を6人(計17回)がクリアしている。1試合のタイムクリアは3人いれば上々で、対戦相手の立大はわずか1人(計1回)だった。
さらに慶大はこの試合で1~9回までの全イニングで「4.3秒未満~」をクリアしているが、これは'02年から計測をしている私でも初めての経験だった。このときの主力が2、3年生だったので、今年のチームにも足の速い選手が多かった。明治神宮大会決勝戦では、関大の3人(計6回)に対して慶大のタイムクリア達成者は5人(計6回)いたが、これは東海大札幌キャンパスが1回戦の大阪商業大戦で記録したのと並ぶ最多タイ記録だった。
長打力も備えている。準々決勝の東海大札幌キャンパス戦では1回表に4本の二塁打などで6点を奪い、準決勝の城西国際大戦では1回裏、先頭の中村が先頭打者ホームラン、関大戦では1回表に郡司が2ランホームランで先制している。