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「FA、すごい」と繰り返した6年前。
鈴木大地、楽天でもリーダーシップを。
posted2019/11/28 08:00
text by
田中大貴Daiki Tanaka
photograph by
Kyodo News
11月18日、ロッテからFA宣言していた鈴木大地が楽天への入団を決めた。
思い出されるのは6年前の12月、鈴木がFAで入団してきた涌井秀章と対面したときのことだ。
あの日、鈴木は涌井が待ち合わせの店に来る随分前から「緊張します……」と言って、直立不動で待機していた。涌井が店内に入ってくると深々と頭を下げ、「ロッテの鈴木大地と言います。涌井さん、来季からよろしくお願いいたします」と丁重に挨拶した。
涌井は「大地君、よろしくね。でも、そんな丁寧にしなくていいよ。適当に、適当に」と肩の力を抜くように促したが、鈴木は「いや、ダメです。これからチームメイトになっていただくわけですから」と姿勢を崩さず、涌井も「だから、ラフな感じでいいから(笑い)。プライベートの食事なんだから」と返し、その問答が何度も繰り返された。
「FAですよ、FA。すごいです」
同席していた唐川侑己が早々に涌井と打ち解ける一方で、鈴木は憧れの眼差しでFA移籍してきた涌井の言葉に耳を傾けていた。
仲間、ファンも認めたリーダー。
真面目で、律儀で、熱い男、鈴木大地。若手のお手本となり、リーダーとして必要とされる人材。
一度会えば、誰もがそう思うだろう。2014年には入団3年目ながらキャプテンに任命され、今年は選手会長を務めた。プロ8年間で全試合出場5回、140試合以上の出場が7回。ルーキーイヤーを除けば、すべてのシーズンで140試合以上に出ている。
30代に入った今年は、レギュラーが確約されない中でファーストを中心に内野の各ポジションとレフトを守るユーティリティーな働きを見せた。