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韓国の「マウンドに太極旗」と同じ?
スポーツの応援に旭日旗は必要なのか。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNanae Suzuki
posted2019/11/22 15:00
世界一になり、外野席に挨拶をする侍ジャパンナイン。ほとんどのファンは日の丸で応援していた。
苦虫を噛み潰したような表情の王監督。
そんな行動を苦虫を噛み潰したような表情で見つめていた王貞治監督(現ソフトバンク球団会長)以下、日本代表の選手たちの姿をいまでも覚えている。
結果的に辛うじて2次リーグを突破した日本代表は、準決勝で再び対戦した韓国を6対0で下して決勝に進出。決勝戦ではキューバを下して初代チャンピオンの座に輝いた。
2004年のアテネ五輪以来、代表トップチームの国際試合は全て取材してきたが、その中でもあの“旗立て事件”は特筆してスポーツマンシップが欠如した行為として記憶に残っている。準決勝で韓国を破った瞬間は、取材者という立場とは別に、選手たちがグラウンドで溜飲を下げてくれた思いだった。
先のラグビーのワールドカップではないが、スポーツの根幹にあるのはフェアプレーの精神と対戦相手へのリスペクトである。どんなに激しい潰し合いやラフプレーがあっても、試合が終わった瞬間にノーサイドとして肩を組み合える。それがグッドウイナーとグッドルーザーの姿であるはずだ。
スポーツの精神から最も遠いもの。
だが、あのときの韓国は当時、竹島の領有権問題を巡って日韓関係が深刻化する中で、あえてマウンドに旗を立てるという政治的とも解釈できる行為をこれみよがしに行った。
そこには対戦相手、敗れたチームへの配慮もリスペクトの欠片もない。幼稚な自国ヒロイズムを満足させるだけの行為は、スポーツの精神から最も遠いものだったと言えるだろう。
そんな韓国の忌まわしい行為を思い出したのは、「プレミア12」の決勝戦のスタンドでのある“事件”を、韓国メディアが報じるのを読んだときだった。
日本人の中年男性が外野席に旭日旗を持ち込んでいたことに、韓国メディアが一斉に反発した記事だった。韓国野球委員会(KBO)が主催者の世界野球・ソフトボール連盟(WBSC)に抗議を行ったことも報じられていた。