松岡修造のパラリンピック一直線!BACK NUMBER
加藤健人と菊島宙のレクチャーで
修造がブラインドサッカーに挑戦!
text by
松岡修造Shuzo Matsuoka
photograph byYuki Suenaga
posted2019/11/25 07:00
アイマスクさえかければ誰でも体験できるブラインドサッカーだが……見えない恐怖と戦う松岡修造さん。
「最初はみんなそう。僕も全然動けなかった」
松岡「お母さん、なぜ宙さんを普通のサッカークラブに入れたのですか」
菊島・母「お父さんがずっとサッカーをやってまして、今も宙のチーム『埼玉T.Wings』の監督をやっているんですけど、小さい時からよく試合を見にいっていたんですね。それで本人もサッカーに興味を持ったみたいで、『やりたい』と。当時はまだ視力も0.4くらいはあったので、やらせてみました」
松岡「その時の感覚が生きているんですね。でも、見えていた世界が見えなくなったんだから、そのギャップに戸惑うこともあったんじゃないかと思う。マイナスには捉えないんですか」
加藤「今までできていたことが何でできないのかなというのは、最初はありました。最初はみんなそうだと思うけど、僕も全然動けなかったので。
宙も入ってきた当初は、壁の方に立っていて動けなかったよね」
菊島「サイドラインのフェンスに手をかけて、ボールが来たときだけ動く。そんな感じでした」
加藤「見えなくなってまず難しいなと思うのは、ボールを止めることなんです。普通なら、ボールを止めるのって経験者じゃなくても誰でもできるじゃないですか。それができない」
「もっと音が大きくないと全然わからない」
自ら体験しようと、松岡さんがアイマスクを着ける。「僕の方にボールをパスしてください」。その言葉に従って、加藤さんがコロコロとボールを転がした。鈴のような音を鳴らしながらボールが転がっていくが、松岡さんはそれを華麗にスルーしてしまう。見るのとやるのとではやはり大きな違いがあるようだ。
松岡「もっと音が大きくないと全然わからない。ゴールボールはもう少しわかりやすかったです。体育館だし、ヘリコプターの音はしないし、距離感もだいたい想像ができます。地面に近いところにいるから、ボールが転がってくる音も聞きやすいんです。でも、サッカーは短いパスもあれば長いパスもある。僕もまっすぐに蹴ることくらいはできますけど、正直、試合にはならないと思います」
加藤「もちろん始めてすぐに試合に出るのは難しいですね。たとえば野球なら打ったら一塁へ走るのが決まっているけど、サッカーは自由に動き回れるので。突っ立っていてもダメですし、蹴った後にどこへ動くかは自分で考える必要がある。自由で楽しいけど、自由だからこそ難しいという一面はありますね」
松岡「正直、コートはもっと狭くても良いと思うんですけど、これはプレーヤーにとってちょうど良い広さなんですか」
加藤「各チーム4人、合計8人のフィールドプレーヤーが動き回っているので、これでもけっこうぶつかりますね。だから良い広さだとは思います(笑)」