松岡修造のパラリンピック一直線!BACK NUMBER
加藤健人と菊島宙のレクチャーで
修造がブラインドサッカーに挑戦!
text by
松岡修造Shuzo Matsuoka
photograph byYuki Suenaga
posted2019/11/25 07:00
アイマスクさえかければ誰でも体験できるブラインドサッカーだが……見えない恐怖と戦う松岡修造さん。
「SFの世界のように感じられます」
松岡「(あ然として)今、目の前で起きたことがSFの世界のように感じられます。はっきり言って人間業じゃないです。今日は風もあるし、声も揺れていた。どうやってお互いの位置を把握しているんですか」
加藤「それは本当に練習してって感じです。お互いの声の信頼関係もありますし。試合では敵がいるからドリブルもゴールに向かってまっすぐには行けない。やっぱり練習が必要です」
松岡「今もヘリコプターが飛んでいきましたけど、周りには遮る音がたくさんあります。健人さんには宙さんや宙ママの声が線のように真っ直ぐに聞こえてくるんですか」
加藤「音の感じ方ですけど、僕は生まれつきではなくて途中から病気が原因で目が悪くなってしまったんですね。18歳くらいまでは普通に見えていて、サッカーもしていた。だから見えていなくても、声を出していただければだいたいの方角はわかります。さっきも『ゴール、ゴール』という声で、ゴールがあそこにあって、ボールも音がしているので足元にあるとイメージできる。だからまるで見えているかのようにボールを蹴ることができます」
松岡「健人さんには18歳までの記憶があるから、それを記憶の引き出しから出してイメージをしているということですか?」
加藤「実際には見えていないんですけど、見えているかのようにイメージはしてます」
松岡「だとすると、最初から見えていない視覚障害者の方はどうやってイメージをしているんだろう」
加藤「それはやはり人それぞれで、イメージの仕方は人によって違うと思います。あくまで僕の場合は、ボールの時はボールを見て、パスの時は人を見て、シュートを打つときはゴールを見てという感じでやってますね」
「なぜ見えているようにプレーができるんだろう」
松岡「宙さんは、視力はどうだったんですか」
菊島「私は生まれつきの障がいなんですけど、小さい頃は今よりもよく見えていました。今は視力検査の一番上の文字がぼやけて見える程度です。目の前に人がいたら、なんとなくいるなあってくらい。メガネをかけてもあまり変わらないです」
松岡「でも不思議なのは、今もそうだし、試合中は目隠しをしているから何も見えないわけですよね。それなのになぜ見えているようにプレーができるんだろう」
菊島「フフフ、なんでだろう。私も小っちゃい頃からサッカークラブには入ってました。ブラインドサッカーではなくて、普通のサッカーです」