松岡修造のパラリンピック一直線!BACK NUMBER
パラ水泳・成田真由美。多くの挫折を
経験しても「楽しい人生」と言える理由。
posted2019/11/18 07:00
text by
松岡修造Shuzo Matsuoka
photograph by
Yuki Suenaga
松岡修造がパラアスリートと真剣に向き合い、その人生を深く掘り下げていく「松岡修造のパラリンピック一直線!」。第七回のゲストはパラ水泳の成田真由美さん。
アトランタ、シドニー、アテネ、北京と4大会連続でパラリンピックに出場し、合計15個の金メダルを獲得。北京後に一度は現役を退くも、リオ大会の前年に選手復帰。リオ大会では50m自由形で5位に入賞。現在は、2020年東京大会を目指し、選考会に出て派遣記録を突破したいと明言している。
2020年は自国開催のパラリンピックでもあり、障がい者を取り巻く環境をもっと良い方向へ変えていきたい――。現役を続ける覚悟の裏には、そんな想いがあるようだ。
体調が悪い中でどれだけ泳げるのか試す!?
松岡「僕は真由美さんにたいして、失礼ですけど、障がい者感覚はゼロですよ」
成田「ああ、そう言ってもらうとうれしいです」
松岡「だってこんなにニコニコしながら、挫折も前向きにとらえている。いいなって感覚ですよ。でも、生まれつき障がいを持っている方と、途中でなった方とはその捉え方が違うって言うじゃないですか。真由美さんは足が動く感覚を知っているわけだから。その感覚の違いはどうやって受け入れたんですか」
成田「2度美味しい人生を送っちゃったーみたいな(笑)。歩けた人生と車いすの人生と。そんな感覚です」
棟石「この先、まだ何があるか分からないよ(笑)」
成田「ハハハハ、そうだね。また何かあったら、3度美味しいとか」
松岡「もう笑うしかないね(笑)」
成田「やっぱり、車いすになったから声をかけられたり、逆にこの体だから人にものを頼まないといけなかったり。車いすだと高いところはどうしても手が届かないから、頼むしかないじゃないですか。人に支えてもらえる人生になれたのはプラスだったと考えてます」
松岡「そっか。真由美さんだと何でもできるように思えちゃうけど、できないこともちゃんとある。でも僕が頼まれたら、『真由美ならできる!』って答えてしまいそうです」
棟石「普通なら『できない』、あるいは『やらない』ことを成田はしてしまうんですね。ある時、昼間に組織委員会があったんですけど、成田は委員会から帰ってきて夜に練習をしたんです。じつはその時、彼女は熱を出していて、私が『今日くらい練習を休んだら』って言ったら、この人はなんて答えたと思います? 『体調が悪い中でどれだけ泳げるのか試してみたかった』って」
成田「パラリンピックで同じような状況になるかもしれないし、試してみたかったんですよ」
松岡「普通は逆ですよ。僕が微熱の時は、あからさまにそれを周囲にアピールして、しんどいって態度を見せます。優しい言葉をかけてよって。なんでそんな発想になるの?」
成田「そういう選択肢は私にはないです。逆になんでそんなことを思いつくのかわからない(笑)」