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「2人の安藤」が戦った長い夏。
バスケW杯の敗北から持ち帰った物。
 

text by

石川歩

石川歩Ayumi Ishikawa

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photograph byAFLO

posted2019/10/13 09:00

「2人の安藤」が戦った長い夏。バスケW杯の敗北から持ち帰った物。<Number Web> photograph by AFLO

安藤周人(右)と安藤誓哉(左)、2人の選手がW杯で感じたのは奇しくも同じ部分だった。

日本人相手の3P成功率とは意味が違う。

 安藤周人はW杯で4試合に出場し、プレータイムの合計は29分33秒、5得点だった。自身で話す通り、後悔が残る結果なのだろう。しかし、W杯のコートに立てたのは日本中でたった12人の選手で、その重みを安藤周人はきちんと受け止めていた。

 W杯を終えて約2週間、あのコートに立った安藤周人の視座は、3カ月前よりもずっと上にあった。

「僕は、日本人の中で(3P成功率が)40%を超えて満足していたのかもしれない。世界では、(Bリーグと)同じように打てるわけではないから、もっとシュートの成功率を上げて40%以上が平均値にならないといけない。

 昨シーズンの初めは50%だったのにシーズンが終わったら10%も落としているようじゃダメだし、試投数が多いというのは言い訳にならない。僕のバスケはまだまだ成長できるものだと思ったから、今シーズンは、昨年の成功率を0.1%でも上げられるように練習していきます」

 多くの代表選手がBリーグの東・中地区に集中している今シーズン、西地区で戦う安藤周人のW杯の経験は貴重だ。開幕したBリーグで、安藤周人はどんな戦い方をするのか。

「ヨーロッパのチームは、常にインテンシティの高いバスケをしていました。40分間常にフィジカルコンタクトをして、ハードにディフェンスをして、しっかり走って点を取る。それは普段から練習している慣れだと思うから、それ以上のことを日本人がやれば、日本のレベルも上がると思う。外国人だからすごいという偏見はなくしたほうがいい。ヨーロッパのバスケは強いけれど、それがなんだとも思う。

 だって、同じ人間でしょう? 日本に帰ってきて本当に思うのは、これは仕方のないことだけれど、やっぱり笛の感覚も違うなかで、ファウルを取られてでも常にフィジカルに、ハードにプレーしないといけないということ。だから、名古屋に帰ったら僕だけでも常にフィジカルなディフェンスをしようって決めていたんです。そうしたら(ジョーンズカップで一緒に戦った)天傑さんが練習からハードなディフェンスを続けていて、やっぱり天傑さんも同じことを感じたのだなと思った。

 チームメイトも『アグレッシブにやろう』『常にコンタクトをしよう』って声を掛け合っていて、このチームは変わったって、びっくりしたし、うれしかった。代表が解散する日は、(渡邊)雄太と(馬場)雄大とアヴィと僕の4人で、『オリンピックのために今日からがんばろう。レベルアップして4人でオリンピックに集まろう』と話して別れました」

安藤誓哉「今年は、かなり長い夏になる」

 安藤誓哉が、日本代表として戦いたいと願ってきた時間は長い。安藤誓哉は大学4年時にカナダに渡り、NBLのハリファックス・レインメンと契約してチームのファイナル進出に貢献した後、フィリピンのPBAでも海外挑戦を続けた。

「日本代表に入りたいという思いもあって海外に行きました。ただ、自分がW杯に出るという想像はついていなかったです。まずは代表に入りたいという思いで、代表に入って何をするのかは全く分からなかった。海外に出て誰も知らない場所で、バスケで生きていくなかで、カットされるかもしれない緊張感を経験したので、精神的に得たものはあると思う。

 今の僕は、新しい環境に置かれてもそんなに苦に感じないし、生きていく中では嬉しいことも悲しいこともあるけれど、どんなことにもあまり動じなくなったと思います」

 異国の孤軍奮闘で培ったメンタルは、帰国後に栃木ブレックス(現・宇都宮ブレックス)、秋田ノーザンハピネッツ、アルバルク東京とチームを渡り歩いた安藤誓哉の礎になっている。そして昨シーズン、Bリーグ2連覇を果たしたアルバルク東京の司令塔として注目が集まった安藤誓哉にとって、A代表を狙う機は熟していた。

「ジョーンズカップが(A代表に上がる)勝負どころだと感じていたので、6月から覚悟を決めて準備をしていました。代表メンバーに選ばれるかどうか分からないけれど、ジョーンズカップからひとつひとつ超えていかなくてはいけない。今年は、かなり長い夏になると思っていました」

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