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「え? こんなところもノーサイド……」
“聖地・花園”にミニスタジアムを発見!
posted2019/10/15 11:00
text by
芦部聡Satoshi Ashibe
photograph by
kairikiham
ラグビー代表チームの強さを測る指標に、テストマッチの結果によって決まる世界ランキングがある。10月10日時点での1位はニュージーランド。以下、2位ウェールズ、3位イングランドと続き、日本は8位に位置している。
この世界ランキング以外にも、ラグビーの世界にはもうひとつの“格付け”がある。それが「ティア」と呼ばれる階級だ。こちらはポイントのような明確な選定基準はなく、過去の実績や伝統といったもので決められている。
「ティア1」は、南半球4カ国による「ザ・ラグビーチャンピオンシップ」と、欧州6カ国による「シックス・ネーションズ」に参加する10カ国によって構成されていて、W杯で日本が戦ったプールAではアイルランドとスコットランドが「ティア1」のチームである。「ティア1=強豪国」という認識で間違いない。
「ティア2」は中堅国という位置づけで、日本を含む13カ国がカテゴライズされている。W杯ではフィジーとカナダとサモアが過去にベスト8入りを果たしたのが最高成績だ。他国はW杯出場経験はあるものの、すべてプール戦で敗退している。
学校より優先しちゃうラグビーW杯。
テレビの地上波で中継される日本戦や「ティア1」の強豪国の試合を見ると、スタジアムは熱狂的に盛り上がっている。注目度の高さを考えると当然だが、一方で「ティア2」同士が対戦する、通好みのカードもチケットは完売。
10月3日に大阪・花園ラグビー場でおこなわれた、プールD・フィジー対ジョージアは、日本でW杯が開催されているからこそナマで見られたダークホース同士の好カードだ。“ラグビーの聖地”の興奮はいかほどだったのだろうか?
近鉄日本橋駅から快速に乗り、東花園駅で降りる。平日の日中だというのに、駅前はラグビーファンで埋め尽くされていた。なかには小学生らしき子供の親子連れもチラホラ……「一生に一度だから」と、学校よりもW杯観戦を優先させたのだろう。
駅前のマクドでハンバーガーを頬張るフィジーのユニフォームを着込んだデカい男性が目に入る。花園ラグビー場に向かう通称・スクラムロード花園では、ジョージアの国旗をマントのように羽織った男性ともすれちがった。正門前では多くの人々が記念撮影を楽しんでいる。国際色豊かで華やかな雰囲気はW杯ならではだ。
試合開始2時間前の開門と同時にスタジアムに観客が吸い込まれていく。入場口では荷物チェックとボディチェックを受けたが、さしたる行列もできずスムースに通された。当日は台風の影響で雨粒が落ちるあいにくの空模様で、試合開始前のひとときを過ごすファンで通路はごった返している。場内に一箇所しかないグッズ売り場には長蛇の列ができ、持ち込んだ551蓬莱の包みを床にひろげて宴会を楽しむグループも……。おいしそうな餃子の匂いを嗅ぎながら、熱気あふれる場内を散策した。