ラグビーPRESSBACK NUMBER
「え? こんなところもノーサイド……」
“聖地・花園”にミニスタジアムを発見!
text by
芦部聡Satoshi Ashibe
photograph bykairikiham
posted2019/10/15 11:00
屋外にもラグビー場を発見?
花園ラグビー場はW杯にあたって、シートの交換、大型ビジョンの設置、スタンド席を増席するなど、大幅にリニューアルされた。古い花園を知る人たちにとっては見違えるように生まれ変わった“ラグビーの聖地”。なかでもひときわ目をひいていたのは、ラグビー場のフィールドを模した、遊び心ある屋外喫煙所だ。国籍を問わず愛煙家たちが、ビールをぐいぐいあおりながら紫煙をくゆらし、歓談している。きっと試合の展開を予想しているのだろう。全世界共通の至福の時間だ。2020年の世界的な大会では禁煙に積極的な取り組みがされているが、この大会では喫煙の文化のある外国人とうまく共存しているように見えた。
14時15分のキックオフが迫り、南側のスタンドに座る。入場者数は2万1069人。もちろん超満員である。メインスタンド以外に屋根はなく、降りしきる雨が身体を濡らす。ビールの売り子が声を張りあげつつスタンドを練り歩くが、売れ行きは芳しくない。
しかし、ファンは熱かった。外国人ファンがリードする「レッツゴー!フィジー!」のチャントに日本人ファンも手を叩く。前半19分、フィジーの13番ワイセア・ナヤザレブが先制トライを決めると、大きな歓声が上がった。さらに後半20分、27分、29分、35分と立てつづけにトライを決めて、さらにコンバージョンも成功。フィジーがジョージアを突き放し、45対10の圧勝となった。
ノーサイドを迎えるころには雨も上がり、雲の合間からは明るい陽射しが差し込んでいた。お天道様が気を利かせてくれたのだろう。
スタジアムを出ると、快勝に歓喜するフィジーのファンにハイタッチを求められた。パチンと大きな音が鳴ると、なんだか嬉しくなってくる。優勝争いとは無縁のゲームであっても、やはりW杯とはフィエスタなのだ。