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小笠原満男が子供達に薦める親離れ。
大船渡での下宿とチャーハン選手権。
text by
池田博一Hirokazu Ikeda
photograph byKyodo News
posted2019/10/08 11:30
大船渡高校時代、小笠原満男は全国高校サッカー選手権に出場した。その力の土台となったのが下宿生活だった。
トップの練習をすぐ見られる幸福。
今や情報社会。インターネットを検索するだけで、ある程度の情報は簡単に手にはいる時代になった。
「自分の進路を考えたとき、どこに進みたいかといえば、環境面も見ますよね。練習グラウンドが一定の場所ではなく、点々としているところもあれば、決まったロッカーがないところもある。それがアントラーズでは、ロッカーや寮が整っていて、トップチームがすぐ隣で練習している。ジュニア、ジュニアユース、ユースとどのカテゴリーでもトップをすぐに見られる環境にある。これほどうらやましいものはない。
そこに、さらに新しい寮ができる。練習グラウンドから自転車で5分と、今まで以上に近くなるから、練習が終わってすぐに食事がとれるようになる。すごくいいと思うし、なによりうらやましいですよね」
1991年、住友金属工業蹴球団へ加入したジーコは、常に言い続けてきた。
「施設が整うことでチームは強くなる」
アントラーズ発足当初のロッカールームは、床がコンクリートで個別のロッカーもなく、パイプ椅子がある程度だった。そこから床にシートが敷かれ、フックを買ってきて壁に取りつけたりと、順々に体を成し、結果に結びついていった。
環境が整うことで、結果につなげる。
2011年にできた、アントラーズ下部組織の専用施設である「つくばアカデミーセンター」にしても同じことが言える。それまで決まった練習場やロッカーがなかった状況で、施設が整った。つくばジュニアユースは、'15年に初の全国大会出場を決めて以来、今では頻繁に全国大会出場を重ねるまでになった。
「これだけうらやましい環境はない。サッカーに集中できる環境が整ったわけだからね。親から離れて集団生活をすることで、俺自身が経験したことだけど、学ぶことは多くあると思う。人として何をしないといけないのかを学ぶことはもちろん、精神的にも自立することにつながっていく。
さらに僕らの立場から言えば、環境が整うことで、結果につなげないといけない。これだけ整えてくれたクラブのためにも、よりこれまで以上にトップで活躍する選手を輩出していかないといけない。僕たちスタッフはよりやりがいが出てきますよね」
環境が強化に与える影響は大きい。トップで活躍する選手を生み出すために。小笠原にとって、ハードが整ったことによる新たな期待が大きく膨らんだ。