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酒井高徳とヴィッセルの幸福な関係。
「僕が神戸へ来たときに比べると」
posted2019/10/01 11:30
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
Getty Images
「いやいや、まだ何も果たせてないですから」
9月28日、川崎相手に2-1と勝利した神戸の酒井高徳は、広報スタッフに促されながら、チームバスへ向かう途中「救世主ですね」と声をかけられると、笑みをたたえながらもきっぱりとそれを否定した。
ドイツのハンブルガーSVから、神戸へ移籍加入した酒井。Jリーグ復帰戦となった8月17日の浦和戦以降、Jリーグでの戦績は4勝1敗。順位も15位から9位へと上昇。天皇杯でも川崎を破り、準々決勝進出を果たしている。
「後ろ3枚というのがハマっているというのもあるし、高徳やトーマス(・フェルマーレン)、(飯倉)大樹も含めて、いま神戸がやりたいサッカーにフィットした選手が入ってきた。それぞれが経験のある選手たちだし」
山口蛍は、そう現状を語った。そして酒井も次のように話す。
「神戸はもともと攻撃能力があり、得点はとれていたのにいらない失点で難しくしているという印象があった。自分が入って守備のバランスが整ったことによって、従来の攻撃力を発揮して勝っているんだと思います」
酒井の加入で神戸の球際が変わった。
神戸で酒井が意識しているのは、球際の激しさやピッチ上でのコミュニケーションだった。
「僕が神戸へ来たときに比べると、今は練習中から、みんなの球際への意識が変わった。僕自身はそれを周りに要求しているし、僕がそれを見せることで『チームに必要なことなんだ』というのが伝わっているんだと思います。
ただ、激しく行っていると思っていても、行っているようで行っていない……ということもある。でも僕やトーマスがガチガチやっているのを見て『こういう感じかぁ』と感じ取ってもらえているのかもしれない。その必要性を選手ひとりひとりが認識して、プレーで表現できている部分が、今神戸の非常にいい部分だと思います。
ほかのJリーグの試合を見ていますが、神戸の球際の部分は少し異質になってきている。もちろんヨーロッパでプレーしていた選手が多いというのもありますけど」