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NBAとBリーグの架け橋となれ。
馬場雄大のマブス契約の価値とは。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKyodo News
posted2019/09/25 11:40
馬場が結んだと見られる「エキシビット10」は最大5万ドルのボーナスが支払われる1年契約で、1チーム6人まで結ぶことができる。
大谷翔平を説得した日本ハムのデータ。
まず、日本でのプロの経験がないまま海外のトップカテゴリーに挑戦することの難しさを示す、他の競技のデータがある。
最も有名なのは、高校卒業時にメジャーリーグ挑戦を表明していた大谷翔平を指名した日本ハムが、契約交渉で提示して大谷を翻意させた資料のこんなデータだ。
日本でプロとしての実績を作ってからアメリカにわたり(MLB傘下への入団含む)、一定程度の活躍をした割合が69%であるのに対して、日本でプロとしての実績のないままアメリカにわたり(MLB傘下への入団含む)、一定程度の活躍をしたのはマック鈴木氏1人で、1.6%に過ぎない。
同様にサッカーの世界でも、日本でプロの実績がないまま海を渡った選手は苦しんでいる。過去10年間で、ヨーロッパのカントリーランキングで上位10カ国の1部か2部リーグのチームと、日本でプロとして活動した経験がない選手が契約したケースは11人いる。
その中で、現在上位10カ国の1部リーグでプレーしているのは伊藤達哉だけである。その伊藤にしても、2年前にはUEFAランキング4位のドイツ1部ブンデスリーガのチームでプレーしていたが、今季からは8位のベルギー・ジュピラーリーグに移っており、正念場を迎えている。それほどに厳しい世界なのだ。
直接アメリカへ行くことの難しさ。
日本でプロを経験しないで海をわたる選手の成功が難しいのは、簡単に言ってもいくつかの理由がある。
日本で非常に高い能力を見せている選手は、大谷のように国内のチームが獲得のためにあらゆる手をつくす。海外では壁にぶつかったときにアドバイスしてくれるコーチのような存在がいるケースが少ない。言語の壁があらゆる場面で立ちはだかる。プロアスリートとしての心構えと語学を同時に学ぶのはかなりの困難がつきまとう……。
それらのハードルがある状況で、早い段階で渡米することこそが最善だというのは、必ずしも正しいのかどうか。
むしろ、日本でプロとして活動し、日本バスケットボール協会が外国語を学ぶシステムを提供することの方が大切なように思えてくるのだ。