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NBAとBリーグの架け橋となれ。
馬場雄大のマブス契約の価値とは。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKyodo News
posted2019/09/25 11:40
馬場が結んだと見られる「エキシビット10」は最大5万ドルのボーナスが支払われる1年契約で、1チーム6人まで結ぶことができる。
「ただアメリカに行くだけでは」
当時について馬場はこう振り返っている。
「雄太だったり、塁だったり、アメリカに進んで活躍した選手を間近に見てきたので、正直僕はいち早くアメリカへ行きたくて。でも、筑波大学の(日本代表のHCを務めた経験もある)吉田健司監督もそうですし、ルカさんも、『ただアメリカに行くだけでは意味がないんだよ。お前が思っているほど甘い世界ではない』と言ってくれて。
そのために自分の考え方を変え、今やれることをやって、きちんと力をつけてからアメリカへ行こうと」
そんな馬場がアメリカ行きを決断する転機となったのは、昨シーズン終了後のこと。
6月にNBAのダラス・マーベリックスのミニキャンプに参加したあと、若手選手が集うサマーリーグでマーベリックスの一員としてプレーした。そこでの活躍が評価されたことが、今回の契約につながった。
7月のサマーリーグで感じた手応え。
ただ、ドラフト1巡目で指名された八村とは立場が異なる。
NBAへ選手を送り出すことを目的としたGリーグに所属し、マーベリックスの二軍のような位置づけのテキサス・レジェンズというチームがある。馬場はそのレジェンズを主戦場としながら、トップチームで活躍するチャンスとGリーグでプレーする故のサラリーの低さを補填してくれる「エキシビット10」を結んだとみられている。
NBAの支配下登録選手は15人という上限があり、それ以外にも様々な契約形態が存在する。渡邊が結んでいる2way契約を「主にGリーグでプレーしながら、1年間に最大45日間はNBAのチームの活動に参加できる」ものだとすれば、「エキシビット10」というのはその下のレベルの契約と考えるとわかりやすい。
そう考えると、そこまで無理をしてNBAに行く必要があるのか疑問に思う人もいるかもしれない。
しかし馬場は、7月にサマーリーグを戦った感想をこのように語っていた。
「リングにアタックするところや状況判断については、本当にやれたなという自信があります。ただ、課題はルールの違いや言葉などでした」