“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
吉田麻也、昌子源だけじゃない。
植田直通に芽生えたリーダーの自覚。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byKiichi Matsumoto
posted2019/09/07 11:30
パラグアイ戦の後半に出場した植田直通。吉田麻也とのコンビに手応えを感じていた。
改めて自覚した「声」の重要性。
「リーダーになる以上、守備の狙い目をより共有しないといけないし、周りと連動しないといけない。やっぱり味方に狙わせたいし、僕自身も狙いたいポイントがある。そこをいかに周りを動かしながらやっていけるか。自分が狙いたいポイントを周りの状況を整えてから自分が行くこともしますし、もう1人のCBに狙わせることもする。それを形にするために必要なのはやっぱり『声』ですね。一番はそこです。
最初は当然言葉も分からなかったのですが、喋れないからって黙っていたら話にならないし、分からないなら分からないなりに最初から精一杯伝えていた。今は言葉も徐々に分かるようになってきたからこそ、細かい部分も伝えられるようになってきた。サッカー面でコミュニケーションに問題はないので、ベルギーに行って、『人を動かす力』は身についたと思っています」
人を動かす力。これこそ、彼がミックスゾーンで見せた「柔らかさ」の要因であった。
そして、自身が実感する成長を、代表のピッチでもしっかりと表現した。
パラグアイ戦、植田はアクションを交えながら指示をするシーンが目立った。パラグアイが移動の疲れか精彩を欠いていたことは事実だったが、植田と吉田がコントロールする守備は非常に安定していた。
アジアの戦いは必ずピンチが来る。
「僕はブルージュでラインの上げ下げだったり、コントロールを細かくやってきた自負もあったし、前半から出ている麻也くんよりも、僕の方が途中出場でフレッシュだったこともあって、意識的に声かけをしたり、僕が中心となってコントロールをする部分が出てきたという手応えはあります。
これからアジアの戦いが始まります。自分たちが押し込む時間帯は増えるけど、相手には一発がある。必ず1回はピンチがあるからこそ、CBのリスクマネジメントは本当に重要。周りが気づけなくても、僕が気づけるようにしたいと思います」
そう話す植田の目は、高校時代から変わらない鋭さがある。だが、口調はすぐに柔らかくなった。
「やっぱり同じ日本人ってだけで、本当にやりやすさが違いますね。話も密な部分ができるし、『こうしたい』と自分の意思を確実に伝えることができる。そこは凄くやりやすいし、楽しかったです」