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休場明け即大関復帰は至難の業だが。
貴景勝の決断に期待を抱きたい理由。 

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西尾克洋

西尾克洋Katsuhiro Nishio

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photograph byKyodo News

posted2019/09/04 07:00

休場明け即大関復帰は至難の業だが。貴景勝の決断に期待を抱きたい理由。<Number Web> photograph by Kyodo News

稽古総見で精力的な姿を見せた貴景勝。大関陥落も休場したことによって、復調を果たせるか。

貴景勝の相撲を取り戻すことが大事。

 若くして大関に昇進した力士が、陥落して大関復帰を目指した事例は多くない。一番近い例で言えば24歳で陥落した大受と雅山の2人だが、大受は在位5場所、雅山は8場所という短命の大関で、その後の土俵人生を大関復帰に捧げたが叶わなかった。

 一度陥落すると、若くても大関復帰へのハードルは相当に高い。

 大関復帰を遂げた力士(魁傑、三重ノ海、貴ノ浪、武双山、栃東:2回、栃ノ心)は、いずれも中堅からベテランという年齢だった。大関陥落の多くは衰えによるものであり、若くして怪我が原因で陥落したというケースが少ないことも事実である。

 今場所、素晴らしい相撲で大関復帰を果たすのを見たいが、もし復帰が叶わなかったとしてもそれで相撲人生が終わるわけではない。

 また3場所で33勝すれば良いのだ。上位陣は堅調とはいえ、今は絶対的な力士が存在せず、好成績で再昇進するチャンスはまだまだ残されている。

 厳しい状況ではあるが、希望もある。これは前例のないチャレンジである。大関の地位を手放してでも休場し、貴景勝の相撲を取り戻すという決断こそが大事なのだ。試金石となる9月場所での活躍もさることながら、5年後、10年後の貴景勝の活躍を願わずにはいられない。

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