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兄弟子の白鵬から猛烈指導。
炎鵬が見せた笑顔と号泣。
posted2019/08/25 09:00
text by
佐藤祥子Shoko Sato
photograph by
Manami Takahashi
もはや角界一の人気力士と言っても過言ではない、幕内随一の小兵・炎鵬。7月名古屋場所では、入幕2場所目にして悲願の勝ち越しを決め、技能賞をも受賞した。
思い返せば新入幕として臨んだ先の5月夏場所では、千秋楽の松鳳山戦での熱戦も虚しく、負け越しが決定。花道で涙を見せたほどに悔しい“幕内デビュー場所”となった。
「この日から、『来場所は絶対に勝ち越す』と心に誓ったんです。そのためにこの2カ月間、みっちりとやってきました」
そう炎鵬が振り返る。その言葉通り、場所後からすぐさま始動。横綱白鵬の胸を借り、本場所さながらの白熱した三番稽古を繰り返して来た。この時、「新入幕の目標を“10勝しての三賞受賞”としていたんですが、どこかいいところを見せようとして平常心じゃなかったのかも。目標の数字を意識しすぎて、純粋に『勝ちたい!』という気持ちを忘れていた」と自身を冷静に省みていたものだった。負け越したものの幕内残留の成績でもあり、7月名古屋場所の目標を問うと、「もう数字は一切口にしません」と笑顔を見せ、翌場所に向けて心を切り替えてもいた。