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甲子園の48本塁打、メーカーはどこ?
バットは2強、スパイクはアシックス。
posted2019/09/03 11:40
text by
中村計Kei Nakamura
photograph by
Hideki Sugiyama
多くのアスリートにとって、もっとも大事な用具は何か。
その答えは、シューズであり、スパイクである。力の源は、下半身にあるからだ。それだけに、疲労も下からやってくる。つまり、故障防止という観点からも、シューズ選びは重要なのだ。
にもかかわらず、そのシューズやスパイクへの意識が低い競技がある。それが野球だ。プロ野球選手ともなればさすがにほとんどの選手が気を使っているが、カテゴリーが下になればなるほど、スパイクへの関心が希薄になる。
その理由を語るのは、野球専門店・ベースマン立川店店長の星徹弥さんだ。
「野球は、グラブとバットにお金がかかるからです。硬式グラブともなれば、今は平均でも4万から5万くらいはしますからね。そのぶん、スパイクは安いものでいいやとなる。シューズ以外にお金がかかるので、仕方ないといえば仕方ない。
高校生でも、スパイクの履き方すら知らない選手がたくさんいます。かかとをつぶすなどは論外ですが、ひも靴は本来、まずはひもを緩め、踵をしっかり入れて、足全体を包み込むようにひもを締めるのが基本です。ひもを解かないで、そのまま強引に履いちゃう選手も珍しくない。ただ、甲子園に出るくらいの選手はやっぱりスパイクにも相当、こだわっているようですね」
バットはミズノとSSKの2強に逆戻り。
星さんと言えば、本ページでは毎大会、ホームランバットリストの解説でお馴染みである。甲子園に出場している選手のスパイク事情の前に、今大会も簡単ながら、ホームランバットについても言及してもらおう。ちなみに今大会のホームラン数は48本。1試合あたりちょうど1本の割合だった。
「選抜大会では、ZETTとアシックスの躍進が目立ったのですが、夏になって、また以前のようにミズノのVコンシリーズと、SSKのスカイビートシリーズの2強時代に逆戻りしてしまいましたね。これは単純にミズノとSSKの使用率が高い高校が甲子園に出てきた、ということだと思います」