“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
“止まらない柏”に緻密な連動性。
瀬川祐輔「レイソルはもっとできる」
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2019/08/27 20:00
柏の11連勝に貢献するMF瀬川祐輔。1年でJ1復帰を果たすべく、さらなる進化を誓った。
一番大事にしているのはセカンドボール。
続く、第26節FC琉球戦でも今季初の2試合連続ゴールを挙げ、今季5ゴール目をマークした瀬川。この辺りから柏の勢いは本物の実力となって加速し始める。
「クリスが前で残っている分、僕まで前で残ったら、後ろは6人(ダブルボランチと4バック)で守備をしないといけなくなる。クリスが前に残る意義はチームとして大きくあるし、欠かせない得点源だからこそ、逆サイドの僕が守備でしっかりとリスクマネジメントをしないといけない。
その上で僕が一番大事にしているのはセカンドボール。セカンドボールは取れるか取れないかで試合の流れを大きく変える重要な要素。僕のサイドでセカンドが落ちそうなときは、自分がいち早く到達できるようにしている。そのために味方選手がクリアできそうかできないかの状況はしっかり見ている。
たとえば、味方CBが相手FWとくっついた状態で競り合うときは、ボールは遠くに飛ばないので、近い距離まで戻ってあげる。もしフリーでヘッドやクリアしそうだったら、一発に裏に抜ける動きをする。左サイドバックの(古賀)太陽が相手のサイドハーフをマークして、そこにボールが入ったら、相手のコントロールミスを狙って挟みに行く。常に次ボールがどこに行くかを予測しながら、セカンドボールを拾っています」
瀬川、江坂、ヒシャルジソンのトライアングルがセカンドボールを徹底して回収し、ボランチの一角の大谷秀和がDFラインに入ったり、両サイドバックの裏のスペースをカバー。こういったメカニズムは快勝した岐阜戦でもフルに発揮されていた。
クリスティアーノのスーパーゴール。
7分、クリスティアーノが右サイドから目の覚めるようなスーパーミドルを決めたが、このゴールの裏には細やかな連動があった。
岐阜が自陣でボールを回すと、左サイドにいたDFにボールが渡った瞬間、クリスティアーノがファーストプレスに行った。その動きを見た江坂が、ボールを受けに落ちてきた岐阜のボランチの塚川孝輝にプレッシャーを掛ける。
さらにその動きを見た右サイドバックの川口尚紀は「塚川選手がサイドにいる馬場賢治選手の姿をちらっと見たので、絶対にここに来ると思って行きました」と、塚川の馬場への縦パスを完全に読み切って、スライディングでインターセプト。そのまま「クリスに預けるまでイメージができた」と、クリスティアーノにボールをつないだ。
そして、「尚紀がクリスに出した瞬間に、僕は『クリスは絶対にシュートを打つ』と思ったし、シュートが引っかかると思ったので、僕はそのまま裏抜けの動きをせずに中央に戻って、セカンドを拾うか、カウンターになった時にすぐに潰しにいけるようにしました」と、江坂は攻守のバランスを考えたポジションに移行。
こうした周りの連動に支えられて、あのスーパーゴールが生まれたのだった。