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巻誠一郎は経営者で、監督修行中。
引退後のアスリートに何ができるか?

posted2019/08/24 11:50

 
巻誠一郎は経営者で、監督修行中。引退後のアスリートに何ができるか?<Number Web> photograph by Ichisei Hiramatsu

引退後、精力的に全国各地を飛び回る巻誠一郎。現役時代と同じく、エネルギッシュに人生を過ごしている。

text by

寺野典子

寺野典子Noriko Terano

PROFILE

photograph by

Ichisei Hiramatsu

 猛暑が続く東京都内で巻誠一郎さんに会った。

 サッカー選手や元サッカー選手の私服姿に驚くことはないが、巻さんが背負うそのリュックの大きさには目を見張った。今も暮らす熊本から上京したためかと思えば、すでに主な荷物はホテルに置いてきたという。

「結構本を持ち歩いているんですよね」

 そう言って見せてくれたリュックのなかには、数冊のサッカー関連の戦術本や指導書などがあり、なかには恩師イビチャ・オシムのものもある。

「あとは、ノートですかね。3、4冊は入っています」

 そう言うと、A4サイズのいわゆる「大学ノート」を取り出した。

スマホよりノートを愛用する理由。

「現役時代はノートに何かを書くことは、本当にまれでした。オシムさんの時代に練習メニューを残していたくらいで、よくある『サッカーノート』すら書いたことがなかった(苦笑)。引退してからですね。いろいろなシーンで様々な立場や職種の方とお話する機会が増えて、自分の考えをまとめるためには、一度ノートに書くのが一番だと。頭のなかをスッキリさせられるので。

 スマホやパソコンなどに記しても、脳には残らないんです。パワーポイントも同じです。講演会などをさせて頂くこともあるんですが、パワーポイントは一切使わない。スライドしていくと、脳から一瞬で前の情報が消えてなくなりやすいから。だから、プレゼンでは大事なことをポンとひとつだけ書き示すようにしています」

 現役を引退してからまだ1年も経たないが、ビジネスや講演、サッカーなどに分類されたノートは「1カ月で1冊が終わってしまう」というぺースで増え続けている。

 1980年熊本生まれの巻は、熊本の大津高校から駒澤大学へ進み、2003年に市原(現・千葉)でプロデビューを果たすと、オシム監督のもとで頭角を現し、2006年ワールドカップドイツ大会メンバー入りを果たした。

 2010年夏にはロシアのFCアムカル・ペルミへ移籍。2011年3月には中国の深セン紅鑽足球倶楽部に加入したものの、同年夏には帰国し、東京ヴェルディに在籍。2014年からロアッソ熊本へ移籍した。そして、2019年1月現役引退を発表した。

 そんな巻さんは今、何をしているのか、そこから話が始まった。

【次ページ】 取締役という「なんでも屋さん」。

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